東芝の2007年度第3四半期(2007年10~12月)の半導体事業は,売上高が対前年比0.8%増の3517億円,営業利益が同29.4%減の168億円となった(Tech-On!関連記事1)。稼ぎ頭のNAND型フラッシュ・メモリーの価格が「対前期比25%減と急落した」(同社 代表執行役専務の村岡富美雄氏)影響を受けた。この結果,半導体事業の通期(2007年4月~2008年3月)の営業利益は期初計画の1500億円を大幅に下回る見通しである。

期初予測を上回る50%/年のペースで下落

 NAND型フラッシュを主力するメモリーは,売上高こそ対前年比20%増の1385億円と伸びたが,大幅な減益となった。NAND型フラッシュの価格下落は2008年に入っても続いており,同社は第4四半期(2008年1~3月)も対前期比20%減を見込んでいる。この結果,2007年度通期の価格下落は同社の期初予測(40%/年)を上回る50%/年となる見通し。

 一方,NAND型フラッシュの需要は「引き続き伸びている」(村岡氏)ため,生産拠点の四日市工場の生産能力は引き続き拡充する。2007年12月に本格稼働させた300mmライン「Fab4」の生産能力を,従来計画通り2008年3月までに4万枚/月,2008年12月までに8万枚/月とする(Tech-On!関連記事2)。歩留まりやスループットの向上により,2007年度通期の同社のビット成長率は,期初計画の130%/年を上回る160%/年となる見通しである。次の300mmライン「Fab5」については,「足元の市況に左右されず,中長期的な展望に基づいて2007年度中に決定する」(同氏)と言うにとどめた。

 半導体事業全体では,個別半導体の第3四半期の売上高が対前年比5.6%増の624億円,SoC(system on a chip)の売上高が同13%減の1508億円となった。SoCはテレビ向けが好調なものの,携帯電話機向けが低迷しているという。半導体事業の通期の営業利益を1500億円に乗せるには,第4四半期に681億円の営業利益を叩き出さなければならず,これは同社にとって「かなり厳しい数字」(村岡氏)である。

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