2年ぶりの赤字に
2年ぶりの赤字に
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 エルピーダメモリは2008年1月29日,2007年度第3四半期(2007年10~12月)の決算を発表した(ニュース・リリース発表会でのプレゼンテーション資料)。売上高は対前年同期比34.1%減の940億4700万円,営業損失は89億4000万円と,2005年度第2四半期以来,2年ぶりの赤字となった。

 赤字に陥った理由として,DRAM価格が下落する中で,エルピーダメモリが生産能力の拡張段階にあり,コストが下がりきっていなかった点を挙げた。DRAMのスポット価格は2007年10~12月期にDDR2方式の1Gビット品で48%低下した。現状ではやや下げ止まり,1月28日の価格が2.22米ドルとなっているものの,このまま価格が回復しなければ,2007年度第4四半期(2008年1~3月)には「赤字がさらに拡大する見込み」(同社)とする。

 厳しい状況ではあるが,「むしろ良い風が吹いている」と同社 代表取締役 兼 CEOの坂本幸雄氏は言う。コスト競争で付いて来られない競合他社が脱落していく可能性が高いためだ。「競合他社は200mmラインだけではなく,300mmラインの生産まで減らし始めている。こうした減産によって2008年4~6月期には1Gビット品の価格が3.5~4米ドルに回復する。われわれはこの価格で十分に利益を出せる。逆にこの価格で利益を出せない企業は生き残れない」(同氏)。

 2008年度の設備投資は約1000億円を予定する。内訳は,エルピーダメモリ向けが60%,台湾Powerchip Semiconductor Corp.(PSC)との生産合弁会社であるRexchip Electronics Corp.向けが40%である。広島工場は生産能力を10万枚/月から増やさない方向であり,50nm世代への早期移行を図る。65nm品は2008年1月に量産を開始したものの,生産量は1万枚/月に抑える。50nm品は2008年10~12月期に開発を完了し,2009年1~3月期に量産を開始する。50nm品は液浸露光技術とCu配線技術を組み合わせる。Cu配線技術を65nm品で先行的に導入することで,50nm技術を早期に立ち上げる考えだ。Rexchip社では,2008年3月に「R1ファブ」が最大能力の7万枚/月に到達する予定。R1ファブの半分の生産能力(3万5000枚/月)を2008年9月までに65nm世代に転換する。残りの半分は直接50nm世代に移行させる。

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