富士通が開発したスマートフォン「F1100」
富士通が開発したスマートフォン「F1100」
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 富士通は,スマートフォンを使った法人向けのモバイルソリューションを提供すると発表した(プレスリリース)。同社が開発し,NTTドコモが2007年第4四半期に発売予定のビジネス端末「F1100」(関連記事)を中核としたもので,内線・外線が1台の端末で受けられるほか,グループウエアや業務アプリケーションにもアクセスできるようになる。

 F1100は,OSに「Windows Mobile 6 Standard」を採用したスマートフォン。通信方式としてW-CDMA(FOMA)およびHSDPAを採用し,IEEE802.11a/b/gの無線LAN機能やBluetoothも搭載する。今回発表したソリューションは,「内外線デュアルソリューション」「モバイルネットワークソリューション」「モバイル業務ソリューション」の3つから成る。

 内外線デュアルソリューションは,企業がPBXシステムに富士通のSIP(Session Initiation Protocol)サーバ製品「IP Pathfinder」や「CL5000」を導入することによって,社内では無線LANで,社外では通常の携帯電話網やIP網を介して通話できるようにするもの。「通話コストの削減が期待できる」(同社)。IEEE802.11aを利用すると外乱電波の影響を受けにくくなり,内線電話として安定して使えるという。電話をかける前に在席中,電話中,会議中,外出中といった相手先の状態(プレゼンス)も分かる。状態に応じて電話やメール,インスタントメッセージといった使い分けが容易になるとしている。

 モバイルネットワークソリューションでは,社外からメールやグループウエアといった情報にアクセスできるようにする。富士通の通信サービス「FENICS II」を利用してセキュリティを高めることで,「インターネット経由のiモードなどに比べ情報漏洩の可能性が低く扱える情報の幅が広がる」(同社)。

 営業支援システムや設備保全システムといった業務アプリケーションに直接アクセスできるようするのが,モバイル業務ソリューション。事務所に戻ることなく営業先や設備保守の現場で情報を閲覧・入力することで,業務効率の向上が期待できるとしている。「iアプリやBREWアプリの開発には専門技術が必要でハードルが高いが,Windows Mobileなら対応しやすく開発コストを抑えられる」(同社)。

携帯電話機の使いやすさを重視


 F1100は長さ112mm,幅51mm,厚さ16.9mmと大きさは既存の携帯電話機と大差ない。「あくまで携帯電話機としての使い勝手にこだわった。BlackBerryのユーザーは,通話用としてもう1台携帯電話機を持つことが多い。F1100は片手で使える携帯電話機の操作性とパソコンの汎用性を両立させ,1台で済むようにした」(同社)と,スマートフォンとしての普及に自信を見せる。「現在の携帯電話機の法人需要は契約全体の10%程度だが,今後通信料の定額制が広がれば法人契約はもっと増えるはず。20%くらいまでを期待したい」(同社)としている。売り上げ目標などは明らかにしなかったが,商談ベースで2008年度に500件程度,2009年度に1000件程度を目指しており,すでに200件ほどの商談が進行しているという。