TLG1120を実装したボード
TLG1120を実装したボード
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前世代品である「TLG1100」を搭載した中国ZTE社製の携帯電話機。Telegent社によると,アンテナ内蔵の携帯電話機のデザインもあるという。一方で,外付けアンテナを備える機種が人気の地域もあるとしている。
前世代品である「TLG1100」を搭載した中国ZTE社製の携帯電話機。Telegent社によると,アンテナ内蔵の携帯電話機のデザインもあるという。一方で,外付けアンテナを備える機種が人気の地域もあるとしている。
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 放送用受信ICを手がける米ベンチャー企業のTelegent Systems, Inc.は,世界の主要なアナログ・テレビ放送規格(NTSCとPAL,SECAM)の受信機能を1チップに集積したIC「TLG1120」を発表した(発表資料)。携帯電話機での利用に向ける。

 Telegent社はこれまでに,NTSCとPALのアナログ・テレビ放送を受信できるIC「TLG1100」を,携帯機器向けに販売していた。今回のTLG1120では,それにSECAMの受信機能も加えた。これにより「ロシアやアフリカの国々の一部などは,SECAM規格のアナログ・テレビ放送を採用している。TLG1120により,こうした地域も含め,ほぼ全世界のアナログ・テレビ放送に対応できる」(Telegent社)という(Telegent社の関連資料)。

 Telegent社はこうしたアナログ・テレビ放送規格のほか,DVB-H/Tのデジタル・テレビ放送の受信が可能なIC「TLG1130」も携帯機器向けに提供している。だが同社は,アナログ・テレビ放送に特に注目しているという。「世界には,アナログ・テレビ放送を当分の間,中止する計画の無い国がたくさんある。我々の製品ならば,こうした国の利用者が,従来と同じインフラを使った無料のテレビ放送を,携帯電話機で視聴できる」(Telegent社)。同社は既に,前世代品の「TLG1100」を,約1年間で500万個程度出荷したと主張している(発表資料)。TLG1100は,NTSCとPALの受信が可能であり,アジアや中近東,欧州,アフリカ市場などに向けた携帯電話機で利用されているという。

 TLG1120はRF受信回路のほか,各種アナログ放送規格の復号化回路,DSP,FMラジオ放送の受信回路などをCMOS技術で1チップに集積した。7mmX7mmのQFNに封止する。受信可能な帯域は,48M~800MHz。高速移動時の受信を強みとしており,時速430kmで移動時にも受信可能という。消費電力は明らかにしていない。同社によれば,TLG1120を一般的な携帯電話機に搭載した場合,6時間以上テレビ放送を再生できるという。ICの価格も未公表である。ただしTelegent社によれば,TLG1120を含むアナログ放送受信回路の部材コストは,12米ドル程度になるという。