ConnectMailの仕組み。パケット通信網とインターネット網を日本通信が媒介している
ConnectMailの仕組み。パケット通信網とインターネット網を日本通信が媒介している
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 他社の無線回線を利用してサービスを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)である日本通信は2008年1月23日,NTTドコモのFOMA端末で米Apple Inc.が手がけるインターネット接続サービス「.Mac」のメールを送受信できるサービス「ConnectMail for .Mac Mail」を発表した。通常の携帯電話端末における電子メールの操作で,.Macにおけるメールとして送受信できる。つまり,携帯電話機用のメール・アドレスがパソコン用の.Macと共通化できることになる。「パソコンのメールは,家庭やオフィスなどある特定の場所でしか確認できない。Webメールを使う手段もあるが,それよりも使い勝手のよい携帯電話機の標準アプリケーションを利用できる」(常務取締役CFOの福田尚久氏)。

 ConnectMailは,同社が2007年12月に完成させたiモードのパケット交換機とインターネットのゲートウエイ・サーバーである「J-Plat」を利用する。J-Platは端末の認証とプロトコル変換,文字コード変換,電子メールのプッシュ配信という四つの機能を持つ。J-Platが.Macのメール・サーバーから定期的にPOP3プロトコルを通じてメールを取得し,受け取ったメールをiモードのパケット・ネットワークに乗せて携帯電話機に配信する(図)。逆に携帯電話からメールを送信する際は,パケット網を通じて受け取ったメールをインターネット・メールにJ-Platが変換し,.MacのSMTPサーバーを通じて送信する。仕組み上.Macに限定されているわけではなく,将来的に複数のISPのメール・サービスに対応していく考えである。

 ConnectMailを利用するためには,携帯電話端末側で新しいソフトをインストールする必要などはない。今まで携帯電話機で電子メールを操作してきたのとまったく同じやり方で,インターネット・メールを送受信できる。端末側では,「iモード設定」の接続先を標準の「iモード」から,日本通信が提供するサービスに変更することになる。この切り替えを随時実行すれば,iモードを含むこれまでのメールとConnectMailを共存させて利用できる。

 ただしConnectMailをサービスとして選択している間は,iモードで標準で提供されるサービスが使えなくなる。例えばiモード・ボタンを押した際に標準で表示されるポータル・サイトはiメニューではなくなる。日本通信では代わりに,NTTレゾナントの「モバイルgoo」をポータル・サイトとして表示するようにしている。このことは,見方を変えると非常に重大な意味を持つ。これまでNTTドコモが独占してきた携帯電話機向けコンテンツのポータル・サイトを,サード・ベンダーが提供できるようになったからだ。言わば,携帯電話機向けネット・サービスの「オープン化」と言える。「例えば仮に,ニフティが提供する『@Nifty』のメール・サービスに接続できるようにするなら,ポータル・サイトもニフティのそれにすべきだろう。Webクライアントの種別を識別する方法がISPごとに違う可能性があるので,日本通信がある程度ISPごとに対応が必要となる」(福田氏)。

 料金は年間4800円。2008年2月1日にサービスを開始する。同社の販売専用サイトで申し込みを受け付ける。