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和製トランジスタ・モデルが国際標準になれた理由,HiSIMチームが会見

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2008/01/18 21:19
小島 郁太郎=日経マイクロデバイス
会見の様子 最前列左からNEDOの富田健介氏(電子・技術開発部部長),STARCの下東勝博氏(代表取締役社長),広島大学の浅原利正氏(学長),同三浦道子氏(大学院先端物質科学研究科教授兼HiSIM研究センターセンター長)。
会見の様子 最前列左からNEDOの富田健介氏(電子・技術開発部部長),STARCの下東勝博氏(代表取締役社長),広島大学の浅原利正氏(学長),同三浦道子氏(大学院先端物質科学研究科教授兼HiSIM研究センターセンター長)。
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HiSIM研究センター HiSIM-LDMOSは,すでに国内企業が実際に使っている。そのほかの複数の国内企業も評価中である。また,複数の海外企業から評価したいとの希望が寄せられている。広島大学のデータ。
HiSIM研究センター HiSIM-LDMOSは,すでに国内企業が実際に使っている。そのほかの複数の国内企業も評価中である。また,複数の海外企業から評価したいとの希望が寄せられている。広島大学のデータ。
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HiSIMファミリ 今回のLDMOSや標準バルクMOS FET向けに加えて,SOIやTFT向けなどがある。広島大学のデータ。
HiSIMファミリ 今回のLDMOSや標準バルクMOS FET向けに加えて,SOIやTFT向けなどがある。広島大学のデータ。
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 和製トランジスタ・モデル「HiSIM-LDMOS」が,国際標準に選定された(Tech-On!関連記事1)。開発した広島大学と半導体理工学研究センター(STARC),国際標準化で尽力した「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)」の3法人は,1月17日に報道機関向けの会見を開き,標準化への道のりや今後の展開について明らかにした。

 会見の冒頭でNEDOの富田健介氏(電子・技術開発部部長)は,「世界でも高いレベルにある日本の技術が国際標準になれなかったのには理由がある」(同氏)として,次の三つを挙げた。(1)標準化をターゲットにした研究活動がない,(2)経営層の理解がない,(3)語学力・交渉力がない,である。

 HiSIMでは,この三つの「ない」の克服を図り,今回,回路シミュレーション用トランジスタ・モデルの国際標準化機関「Compact Model Council(CMC)」によって,LDMOS(Laterally Diffused MOS)トランジスタのCMC標準モデルに選ばれた。「今回のHiSIM-LDMOSは,日本の技術の国際標準化の先導的なケース」(富田氏)。

 HiSIMの国際標準モデルへの挑戦は今回が初めてではない。約2年前の2005年12月に行われた,CMCの次世代MOSFET標準モデルでは最終選考には残ったものの,米ASU(Arizona State University)とオランダNXP Semiconductors社の共同開発の「PSP」に敗れた(Tech-On!関連記事2)。HiSIMのチームには「技術的には優れているのに,政治的な駆け引きで及ばない部分が大きかった」という思いが残った。上記の三つの「ない」への対策が本格化した。

 一つ目の「ない」への対策は,広島大学で取られている。次世代MOSFET標準モデルの選考にエントリしたのを機に,NEDOの支援の下で「HiSIM研究センター」を2005年7月に設立した。HiSIMの開発が主目的ではあるものの,標準化の選考に効くモデルの評価や産業界とのパイプを太くすることも行うようになった。2005年12月の次世代MOSFET標準モデルでは間に合わなかったが,今回のLDMOSでは十分な効果があった。

 二つ目の「ない」である経営層の理解に関しては,STARCという組織があることが寄与したと言える。STARCは国内半導体メーカー11社が出資して,SoCの設計技術の確立を大きなミッションにしている。今回,国内メーカーが一丸となってHiSIMを支援する土台となった。なお,STARCは,HiSIMの仕様策定や評価に加えて,開発者の拠出や,標準化の音頭取りも行っている。

 三つ目の「ない」に関しては,NEDOの支援や,国内メーカーのバックアップが大きかった。NEDOは経済産業省が平成18年に設定した「国際標準化戦略目標」達成に向けて,研究開発プロジェクトを国際標準にするための支援を行っている。HiSIMに対しては1億円の金銭的な支援をはじめ,交渉力向上のためにさまざまなバックアップをした。また,国内メーカーもCMCに積極的に加盟したり,さらに評価結果をCMCの選定会議で発表するなどして,HiSIMを盛り上げた。

 2005年にはCMCのメンバー企業は日本5社,海外26社だったが,2007年末には日本19社,海外33社になった。なお今回のLDMOSモデル選定の最終投票では,HiSIM-LDMOSは38票を集め,日本企業以外のメンバーからも支持を得ている。

次は標準モデルでの復権など

 HiSIMの開発・改良は今後も続けられる。その中で標準化に関しては,次の新規ターゲットはSOI基板のMOS FETモデルである。2008年春までにCMCはSOI基板のMOS FETモデルの要求仕様をまとめて,標準化作業がスタートする。「CMCから選考への参加を求められている」(広島大学大学院先端物質科学研究科教授兼HiSIM研究センターセンター長の三浦道子氏)。

 CMCのLDMOSモデルの標準化には2年近くがかかっている。それから類推すれば,HiSIM-SOIがCMC標準になるとしても,それは2009年〜2010年になるだろう。その前に,HiSIMチームが取り組むのは,PSPに一度は敗れた標準MOSFSTモデル(バルクMOS FET)でのHiSIM(HiSIM2)の復権である。HiSIM2とPSPの両方を,CMC標準にするための特別委員会が2007年5月にCMC内に設置されている(Tech-On!関連記事3)。

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