トヨタ自動車と松下電器産業など5社は99年8月2日,新しいマーケティング手法などを開発する共同事業「WiLL(ウィル)」を始めたことを発表した。2社の他にはアサヒビール,花王,近畿日本ツーリストが参加する。これから3年間をめどに,同じブランド名を冠した製品を各社が発売したり,共同で販売促進のための活動などを行う。

 今回の共同事業を提唱したのはトヨタ自動車。同社は,若い世代向けの商品開発やマーケティング活動,販売方法などを企画するために97年8月に「バーチャル・ベンチャー・カンパニー(VVC)」という組織を社内に発足させている。
 今回の共同事業は,バーチャル・ベンチャー・カンパニーが自動車会社以外のマーケティング手法を調査したり,新しい市場について異業種企業と情報交換を進めている中で出てきたもの。98年中に数社でマーケティング手法や新しい市場の調査などを行い,これを発展させた形で今回の5社での共同事業となった。従来の世代とは違う価値観をもち,異なる消費行動を取り始めた「ニュージェネレーション層」をターゲットに,新製品開発や共同プロモーション活動などを計画している。5社が想定しているニュージェネレーション層は,具体的には20歳代前半から30歳代前半だという。

松下電器は液晶一体型パソコン

 情報通信分野から参加した松下電器はWiLLを冠した製品として,今年秋に新しいパソコンを,2000年春に家電製品を発売する。新しいパソコンは,液晶ディスプレイ一体型の家庭向けパソコンになる可能性が高い。
 現時点で具体的な製品の発売が決っているのは,花王1社だけ。10月4日に衣類用の消臭スプレー「WiLLクリアミスト」を発売する。大サイズが450円,小サイズが320円。
 また,トヨタ自動車は99年内にも「WiLL」を冠した新型車を発表する模様だ。アサヒビールは新しいビールの企画を進めており,秋以降に新製品として発表する。近畿日本ツーリストは,9月末までに新しい旅行パッケージを発売する。(佐藤 昭彦=ニュースセンター)

■問い合わせ先: WiLLのホームページ http://www.willshop.com/