BCNは2008年1月17日,大手家電/パソコン販売店のPOSデータを集計したBCNランキングから見た2007年末商戦のデジタル家電の市場動向を発表した。薄型テレビは全体の伸びは鈍ったものの,40~50型の好調が市場の成長をけん引した。また,次世代DVDレコーダーは販売がメーカーの予想以上に好調で,2007年12月以降は極端な供給不足に陥った。

 薄型テレビは,年末商戦での台数の伸びが前年比20%程度。伸びが前年比40%に達した2006年末商戦には及ばないが堅調だ。けん引役になったのが40~50型未満の製品。2007年12月は前年比が台数ベースで159.0%,金額ベースで135.5%と高い伸びを記録した。特に,40~50型未満の液晶テレビは台数ベースで165.0%,金額ベースで141.9%と大きく伸びた。PDPテレビも台数ベース146.4%,金額ベース120.0%と好調だった。一方,液晶テレビとPDPテレビの明暗が分かれたのが50型以上の製品。液晶テレビは12月の前年比が台数ベース163.1%,金額ベース155.4%と伸びたのに対し,PDPテレビは台数ベース96.7%,金額ベース82.1%と沈んだ。

 画面サイズ別の構成比では,液晶テレビでは2007年11月以降,40~50型未満が伸びたという。夏あたりまでの台数構成比は10%程度だったが,12月には14.8%まで増えた。金額構成比は,夏あたりまでの20%程度から12月には26.5%まで伸びた。また,平均単価は,液晶テレビの1年間の単価下落が10%程度なのに対し,PDPテレビは20%程度落ちている。

 メーカー別の台数シェアでは,シャープが45.1%と首位で,ソニーが16.0%,松下電器産業が15.8%と2社で激しい2位争いを演じている。BCN取締役の田中繁廣氏は2008年の薄型テレビ市場の展望について「2008年も40型以上の製品が市場をけん引するのは変わらないと思う。40型未満ではシャープが圧倒的に強いが,40型以上ではどのメーカーがシェアを握るか予断を許さない。メーカー間の競争は激しくなると見ている」と語った。

次世代DVDレコーダーの品薄はしばらく続く

 Blu-ray Disc(BD)またはHD DVDのドライブを搭載した次世代DVDレコーダーは,2007年11月の時点でDVDレコーダー全体における台数構成比が21.6%,金額構成比が37.1%と好調な出足だった(Tech-On!の関連記事)。しかし,12月にはそれぞれ18.1%,31.4%に落ち,2008年1月15日~30日のデータでは,それぞれ10.8%,21.5%まで落ち込んでいる。

 原因は供給不足だ。「12月はモノがあればいくらでも売れた」(田中氏)という状態だったという。この品薄状態はしばらく続き,金額構成比が40%程度まで回復するのは北京オリンピックが始まる8月ころになる見込みだ。この状況について田中氏は「ある特定のメーカーが品薄になるのではなく,12月以降は均等にモノがない状態になった。メーカーは事前にマーケティングを行って生産数を決めているはずであり,新しいジャンルの製品でこれだけ供給不足が起こるのは珍しい。ここ5~6年でも珍しい状況だ。それだけ製品に力があるということだろう」と述べた。

 デジタル・カメラは,一眼レフ・タイプの製品が好調だ。デジタル・カメラ全体における構成比は,2007年12月時点で台数が8.3%,金額が26.7%で,今後も伸びが期待できるという。一眼レフにおける価格別構成比では,高額な製品の比率が上がってきている。20万円以上の製品の金額構成比は,2006年12月は11.6%だったのに対し,2007年12月には28.6%と,2倍以上になった。

 パソコンは,このところ市場が低迷していたが,回復の兆しが見られるという。最近の特徴は,デスクトップ・パソコンでディスプレイの大画面化が進んでいることだ。ディスプレイが19インチ以上の製品は,2007年7月にはデスクトップ・パソコンのうち台数で22.9%だったが,12月には39.4%に増えたという。周辺機器やソフトウエアなどの関連市場も,パソコン自作の人気がじわじわ上がっているのを背景に好調だ。12月時点での金額の前年比は,パソコン・ケースが146.0%,電源が139.5%,マザーボードが132.9%など。伸びが一番大きかったのは211.4%を記録したサウンド関連ソフト。「初音ミク」が売れた影響だという。