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権利者が要請したDRMなら補償金は不要――文化庁が合意の方向性を示す

山田 剛良=日経エレクトロニクス
2008/01/17 15:52
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私的録音録画小委員会の第16回会合
私的録音録画小委員会の第16回会合
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 私的録音録画補償金制度の抜本的な改革を議論している文部科学大臣の諮問機関である文化審議会 著作権分科会傘下の私的録音録画小委員会の第16回会合が2008年1月17日に行われた。この会合で,「権利者が要請した技術的保護手段が適用された機器での録音録画は補償金の対象にしない」「当面検討すべき補償金の対象はCDからの録音と無料デジタル放送の録画」「契約モデルによる解決をうながすため,著作権法30条の適用範囲を段階的に縮小する」といった指針が示された。

 同小委員会の今年度の会合は今回を含めて残り2回となっている。このため,今期はこの問題の論点を明確にした形で議論を終え,2008年度の継続審議を図る方向になりそうだ。ただし,継続審議となると,2008年1月18日に招集される第169通常国会(会期は6月15日まで)に著作権法の改正案を提出することが難しくなる。この点について文化庁は「法案提出はあきらめていない。継続審議になっても,早い時期に合意ができれば法案を間に合わせることは可能。そのための準備はしている」(長官官房著作権課 著作物流通室長の川瀬真氏)とした。

 今回の会合では冒頭に事務局が,DRMなどの著作権保護技術と補償金の関係を整理した「著作権保護技術と補償金制度について(案)」と題された資料を配付した(PDF化した配付資料)。この資料は,「関係者と調整した結果の骨子。論点を明確にして議論につなげたい」(川瀬氏)という趣旨で作成された。今回の会合では,この資料の内容について議論された。

 この資料では最初にDVD-Audioを例に出し,権利者が要請した保護技術が施された機器について「補償の必要性がないことは,関係者に異論がない」とした。また,著作権保護技術の普及に関するメーカーの貢献を「録音録画の制限に機器等のメーカーが一定の役割を果たしている」と認めたうえで,「メーカーに一定の負担を強いるのは関係者の理解を得られなくなってきて」いると述べ,補償金制度を将来的に縮小する方向を示した。

 その上で当面,補償金制度の適用を検討する分野として,音楽CDからの録音と無料デジタル放送からの録画の二つを挙げた。

 無料デジタル放送の一つである地上デジタル放送は,2008年6月の開始を目指し,「ダビング10」と呼ばれる新しいコピー制御の運用ルールへの移行が準備されている。ダビング10ではチューナー一体型の録画機器に限り,9回の複製と1回のムーブを許すものであり,著作権保護技術が適用されているが,資料では「採用に対する一連の経緯等から権利者の要請により策定されたものではない」として,補償金制度の適用範囲に含める方針を示した。

 音楽CDからの録音と無料デジタル放送からの録画以外については,権利者の経済的不利益が生じる可能性を認めたうえで,「契約モデルによる解決に委ねるべき」とした。こうした環境を整備するために,著作権法30条の適用範囲を段階的に縮小し,無許諾・無償の私的録音・録画を禁止する分野を増やしていく方針を示した。また,差し当たって適用外にする分野の例として配信事業を挙げている。

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