米ABI Research社は,中国の第3世代(3G)携帯電話規格TD-SCDMA方式が政府の強力な後押しにより,中国大陸の支配的な3G規格になるとの見通しを発表した(発表資料)。ただし,中国大陸以外でのTD-SCDMA方式の普及は,香港においても苦戦しそうだと予測する。

 ABI Research社によれば,中国はTD-SCDMA方式導入に向けて既に準備を整えており,3G携帯電話の導入が遅れているのは,技術的な問題よりも規制当局の調整の複雑化によるものという。中国および世界の携帯電話機メーカーは,既にTD-SCDMA/GSM/GPRS/EDGE方式に対応するマルチ・モードの携帯電話機を発表している。また,TD-SCDMA方式の知的財産権を所有する中国Datang Mobile Communications Equipment Co., LtdはTD-SCDMA方式にLTE(long-term evolution)を取り入れる取り組みを始めているとする。

 米ABI Research社は,TD-SCDMA方式が2008年第1四半期に認可されると予測する。TD-SCDMA方式のサービスは初期段階では,中国China Mobile Communications Corp.や中国China Telecom Corp.,中国China NetCom Group Corp.が試験的なネットワークを構築している10都市程度で提供を開始する見込み。残りの3G携帯電話サービスは,TD-SCDMA方式認可の6~9ヵ月後に認可されるとみる。ABI Research社は「携帯電話機とサービスの価格が魅力的ならば,TD-SCDMA方式は中国内の市場ではW-CDMA方式を恐れる必要はないかもしれない」と分析する。

 一方,香港のような成熟市場では市場原理が強く働くとし,中国大陸以外でTD-SCDMA方式が成功するのは難しいと予測する。ただし,香港の通信産業に対する中国の影響は増しつつあると分析した。

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