有機ELテレビ参戦,第10世代液晶工場の建設計画,大手電機メーカーによる業界再編・・・。2007年は,フラットパネル・ディスプレイ(FPD)関連のビッグ・ニュースが続出した。それぞれの記事に対する反響も大きく,例えばTech-On!全体で「上期に多く読まれた記事,参考になった記事ランキング」を見ても,FPD関連記事が上位に数多くランク・インしている。製造業全体の中でFPD産業が大きな存在に成長した表れといえるのではないだろうか。
▼ 2007年「FPD International」記事ランキング
2007年の前半は有機ELの動向に話題が集中した。年間を通してみても,有機EL関連の記事がトップ3を独占している。特に,ソニーによる11型有機ELテレビの製品化や大型化への取り組み(Tech-On!関連記事1など),およびKDDIが有機ELをメイン画面に採用した携帯電話機を相次ぎ発売したこと(Tech-On!関連記事2など)が高い関心を集めた。
ただ,テレビ用ディスプレイとして有機ELが液晶と真っ向勝負するためには,寿命や消費電力など数多くの課題を克服していく必要がある。年末に相次いだFPDメーカーによる液晶事業提携の発表からは(Tech-On!関連記事3,Tech-On!関連記事4),「大型有機ELテレビの開発・製品化には時間が必要であり,しばらくは液晶テレビ(松下・キヤノン・日立連合はプラズマ・テレビも)を主軸に置く」とFPD各社が考えている姿が見て取れる。
2007年後半は,業界再編の話題とともに,シャープによる第10世代液晶工場の発表も関心を集めた(Tech-On!関連記事5など)。「21世紀型コンビナート」と銘打ち,関連するインフラ設備や部材・装置メーカーの工場を敷地内に誘致,さらに自社の薄膜太陽電池工場も建設する。
北京オリンピック後の2009~2010年に向けて市場のコスト・性能・省エネの要求にどう応えていくか。シャープに限らずFPD関連メーカーすべてにとって,2008年はこの解を見いだし,具体的なアクションを起こしていく重要な年になる。