有機ELテレビ参戦,第10世代液晶工場の建設計画,大手電機メーカーによる業界再編・・・。2007年は,フラットパネル・ディスプレイ(FPD)関連のビッグ・ニュースが続出した。それぞれの記事に対する反響も大きく,例えばTech-On!全体で「上期に多く読まれた記事,参考になった記事ランキング」を見ても,FPD関連記事が上位に数多くランク・インしている。製造業全体の中でFPD産業が大きな存在に成長した表れといえるのではないだろうか。

▼ 2007年「FPD International」記事ランキング

順位記事タイトル日付
1【CESプレビュー】27型フルHD有機ELテレビ,ソニーが初公開01/08
2【SID】さらなる大型化にメド,ソニーがテレビ向け有機ELパネルの製造手法を明らかに05/23
3【続報】ようやくKDDIが有機EL搭載ケータイ,「寿命が3年を超えた」01/16
4【続報】シャープ新工場,記者会見での一問一答07/31
5キヤノンと東芝のSED合弁解消――落胆する姫路01/26
6【CES】「レーザー・テレビ」の最新試作機,米Novaluxがデモを実施01/12
7SED工場が頓挫した姫路で,シャープが第10世代液晶工場建設か03/02
8【CES】米Microvision,MEMSとレーザーを使った超小型プロジェクタの試作機を披露01/12
9【CEATEC】中小型でも「液晶の次は液晶」,シャープが厚さ2.88mmの液晶で有機ELに対抗10/02
10SEDパネルの特許訴訟でキヤノンに厳しい判決02/26

(集計期間:2007年1月1日~12月16日)

 2007年の前半は有機ELの動向に話題が集中した。年間を通してみても,有機EL関連の記事がトップ3を独占している。特に,ソニーによる11型有機ELテレビの製品化や大型化への取り組み(Tech-On!関連記事1など),およびKDDIが有機ELをメイン画面に採用した携帯電話機を相次ぎ発売したこと(Tech-On!関連記事2など)が高い関心を集めた。

ソニーは27型のフルHD有機ELテレビの試作機を公開した
ソニーは27型のフルHD有機ELテレビの試作機を公開した (画像のクリックで拡大)

 ただ,テレビ用ディスプレイとして有機ELが液晶と真っ向勝負するためには,寿命や消費電力など数多くの課題を克服していく必要がある。年末に相次いだFPDメーカーによる液晶事業提携の発表からは(Tech-On!関連記事3Tech-On!関連記事4),「大型有機ELテレビの開発・製品化には時間が必要であり,しばらくは液晶テレビ(松下・キヤノン・日立連合はプラズマ・テレビも)を主軸に置く」とFPD各社が考えている姿が見て取れる。

 2007年後半は,業界再編の話題とともに,シャープによる第10世代液晶工場の発表も関心を集めた(Tech-On!関連記事5など)。「21世紀型コンビナート」と銘打ち,関連するインフラ設備や部材・装置メーカーの工場を敷地内に誘致,さらに自社の薄膜太陽電池工場も建設する。

 北京オリンピック後の2009~2010年に向けて市場のコスト・性能・省エネの要求にどう応えていくか。シャープに限らずFPD関連メーカーすべてにとって,2008年はこの解を見いだし,具体的なアクションを起こしていく重要な年になる。