東レはこのほど,シンガポールの水資源を統括/管理する公益事業庁(PUB)と水処理関連の共同開発に関する覚書を交わした。東レは膜とその使い方に関するノウハウを,PUBはプラントの運営/管理に関するノウハウと共同実験場所を提供し,今後の世界の水不足に役立つ水処理関連技術や同製品の開発を目指す。

 東レとPUBはまず,水処理関連の新製品の早期実用化に向けてパイロットテストを推進する。具体的には,東レのPVDF中空糸限外ろ過(UF)膜モジュールと16インチ径の大型逆浸透(RO)膜モジュールを用いた下水再利用のパイロットテストを2008年早々に開始。さらに中長期的には,水処理用の新しい分離膜の開発だけではなく,東レの技術者とシンガポールの大学若手技術者の交換派遣による教育/育成なども実施するという。

 シンガポール政府は水環境技術を三つの重要成長分野の一つとしてとらえ,今後5年間に3億3000万シンガポールドルを投じていく計画。PUBは,20年間にわたって海水淡水化プラントの建設や「NEWater」と呼ぶ下廃水の再利用などの技術開発分野で顕著な成果を収めてきた。今回の覚書により,東レとPUBの両者は水ビジネスで従来以上の連携が期待される。