図1 画素構造の観察画像,RGBで画素構造が異なる。図中の説明は本誌の推定
図1 画素構造の観察画像,RGBで画素構造が異なる。図中の説明は本誌の推定
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 ソニーが発売した有機ELテレビの表示特性を測定した日経エレクトロニクス分解班(Tech-On!関連記事)。次は,あるパネル技術者の協力の下で画素構造を詳細に観察してみた。

 アクティブ・マトリクス型の有機ELパネルは通常,駆動回路にTFTを用いる。ただし,TFTをスイッチとしてのみ利用する液晶パネルとは異なり,TFTをアナログ素子として用いて輝度を調整している。このため,TFT特性のバラつきが,輝度ムラに直結する。

 TFTの特性バラつきに起因する輝度ムラに対処しようと,パネル・メーカー各社は工夫を凝らしたさまざまな駆動回路を提案している。その多くは,サブピクセル当たり3~4個のTFTを用いて補償回路を組むという提案である。

 今回の有機ELテレビは,パネル技術者から「輝度ムラが極めて少ない」との声が上がっている(日経エレクトロニクス2007年12月17日号の特集記事「有機ELテレビを開けてみた」参照)。果たして,いかなる画素構造を採用しているのか――。

 観察の結果,サブピクセル当たりのTFTは2個とみられることが分かった(図1)。それぞれスイッチ用と駆動用とみられ,最もシンプルな画素構造といえる。パネルの外部で,輝度ムラの補正をしているのだろうか。

 TFTの個数を2個にとどめたことで,より多くのTFTを用いる場合よりも画素の開口率の点では有利となる。日経エレクトロニクス分解班は,今回のパネルの開口率を約75%と推測している(日経エレクトロニクス2007年12月17日号の特集記事「有機ELテレビを開けてみた」参照)。かなり高い開口率といえる。まだまだ寿命が十分長いとはいえない発光材料を使いこなすために,開口率を高めることを優先して設計した可能性が高い。

 日経エレクトロニクス分解班が実施した,表示特性測定などの詳細は,2007年12月31日号に掲載している

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