米ABI Research社によれば,リサイクル携帯電話機の出荷台数は2012年に1億台を上回る見通しという(発表資料)。2012年の売上高は30億米ドル以上に達すると見込む。携帯電話機の買い替えサイクルの短期化や新興市場での低コスト携帯電話機の需要拡大,法的規制,消費者意識の高まりなどが,リサイクル携帯電話機市場を牽引しているという。ここでいうリサイクル携帯電話機は,中古の携帯電話機をリサイクルして再度販売する携帯電話機のことを指す。

 現在,米ReCellular, Inc.,や英Fonebak plc,英Eazyfone Group Ltd.といった携帯電話機のリサイクルを手掛ける企業は順調に成長している。しかし,消費者意識を高めることや携帯電話機を手ごろな価格で回収する課題を抱えているとABI Research社はいう。中古の携帯電話機の平均販売価格は急速に下落するため,再販の際に適切な利益を確保するには,これらの携帯電話機の価格をできるだけ安く設定することも必要という。

 フィンランドNokia Corp.や米Motorola, Inc.,英Sony Ericsson Mobile Communications AB,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.,韓国LG Electronics Inc.といった携帯電話機メーカーは,よりリサイクルが容易で,有害物質の含有量が少ない携帯電話機の設計や製造に注力している。これらのメーカーがリサイクルしやすい携帯電話機を販売することによって,通信事業者や仮想移動体通信事業者(MVNO)はARPU(Average Revenue Per User:加入者1人当たりの平均収入)が低いユーザーにはリサイクル携帯電話機を,ARPUが高いユーザーには高価な新しい携帯電話機を提供することができるため,顧客の収益性を最適化する助けになるとABI Research社は説明する。

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