米iSuppli社による「iPod touch」のコスト分析
米iSuppli社による「iPod touch」のコスト分析
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 米iSuppli Corp.は,米Apple Inc.が2007年9月に発売した携帯型メディア・プレーヤー「iPod touch」の部品・製造コストに関する分析を発表した(発表資料)。iSuppli社が分解して分析したもの。それによると,2007年10月の部品価格に基づく8GバイトのiPod touchの部品コストは推計で149.18米ドル。ただし,10月以降にメモリなどの価格が下落したため,iPod touchの部品コストは147米ドルに低下したという。これに製造や組み立て,テストなどの費用5.86米ドルを加えると,iPod touchの部品・製造コストは155.04米ドルになる。8GバイトのiPod touchの米国における販売価格は299米ドルで,販売価格に占めるコストの割合は51.9%となる。なお,このコストは部品や材料,製造コストに限られており,ソフトウエアや知的財産権,付属品や包装にかかる費用は含んでいない。

 機能面と外観において,iPod touchはApple社の携帯電話機「iPhone」と類似点が非常に多いとiSuppli社はいう。iPod touchは,iPhoneに搭載された携帯電話機能やBluetooth,数点のソフトウエアは備えていないものの,ユーザー・インタフェースやWi-Fiを利用したインターネットの閲覧,3.5型のタッチスクリーンといった製品の核となる特徴がiPhoneと共通する。

 iPhoneと同じ部品を使用しているのは,ビデオ/アプリケーション・プロセサ。ARMコアを搭載した韓国Samsung Electronics Co., Ltd.のプロセサを使用する。2007年10月時点の価格は13.19米ドルで,iPod touchの製造コスト全体の8.5%に相当する。電力管理用ICもiPhoneと共通で,オランダNXP Semiconductors社の製品を使用する。このICの価格は2007年10月の価格で2.61米ドルで,製造コスト全体の1.7%を占める。

 iPhoneとの類似点は多いものの,iPod touchは構造やコスト面では独自の最適化がされているとiSuppli社は分析する。実装面積を削減するため,無線LANモジュールにiPhoneには搭載されていない0201(インチ)パッケージのダイオードや01005(インチ)パッケージの受動部品が使われているとする。同社によれば,Apple社は新製品においては,常に省スペース化の限界に挑んでいるという。また,もう一つの大きな違いはプリント基板。iPhoneの基板は2枚だが,iPod touchの基板は一枚である。

iPod touchの出荷台数は年間850万台

 iSuppli社は,これまでのApple社の新機種発売パターンを参考にすると,第2世代のiPod touchが発売されるまでの期間は1年間と予測する。第2世代のiPod touchの発売は2008年第3四半期になる見込みで,それまでの1年間で第1世代品を850万台生産するとみる。ただし,Apple社が第2世代のiPod touchをiPhoneの新機種と同時に市場に投入する場合には,この予想は実現しないという。例えば,第1世代の製品寿命が2年間となった場合は,生産台数が2000万台に上る可能性もあるとみる。

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