CEnOに就任した八丁地隆氏
CEnOに就任した八丁地隆氏
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 日立製作所を中心とする日立グループは2007年12月19日,地球温暖化防止に向けた長期計画「環境ビジョン 2025」を発表した。計画の目玉は,「2025年度(2025年4月~2026年3月)までに日立グループの製品で年間1億tの二酸化炭素(CO2)抑制を目指す」というもの。実現すれば,国際エネルギー機関(IEA)が2025年までに抑制する必要があるとしている145億tのうち,0.7%を同グループで担う計算になるという。

 同計画は,同グループが2006年に策定した中期計画「環境ビジョン 2015」をさらに強化したもの。「地球温暖化の防止」「資源の循環的な利用」「生態系の保全」を三つの柱に掲げ,2025年までにすべての自社製品を「環境適合製品」に代替していくことなどで,年間1億tのCO2抑制を目指す。

 環境適合製品とは,同グループで自主的に実施している環境情報表示制度。「減量化」「長寿命化」「再資源化」「分解・処理容易性」「環境保全性」「省エネルギー性」「包装材」「情報提供」の八つのカテゴリーで基準を設け,そのすべてを達成した製品を「環境適合製品」として認め,マークを表示する。CO2抑制量は,同種の2005年時点の製品を使用した場合と同社の環境適合製品を使用した場合を比較し,その差と台数を掛けて計算している。削減量の計算は生産時の排出量を含まず,使用時の省エネルギなどによる効果のみを換算しているという。詳細な算定手法などは,今回は明示されなかった。

 同グループは中間目標として,この環境適合製品の2010年度の売上高を,2006年度の3.5兆円(対売上高比30%)から6.6兆円(同50%)に引き上げる計画。

 ただし,目標の抑制量である年間1億tのうち,約8割は原子力発電建設などエネルギ事業関連による抑制になる見込み。「原子力発電所の新設を受注した場合,火力発電所と比較してCO2排出量の差を算出。こうした抑制量の差を予想して合計した数値が1億tの主要部分を占める」(同社)という。残りの2割を製品の環境適合化でまかなう。

 また,同社は計画実施に向けて全社的・対外的な戦略を練る部署として2007年12月1日,地球環境戦略室を設置。そのトップであるCEnO(Chief Environmental Strategy Officer)に,ステークホルダー対応やグローバル戦略で経験のある八丁地隆氏を据えた。

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