三菱重工業は,バーレーンの石油化学会社であるGulf Petrochemical Industries社(GPIC)に,二酸化炭素(CO2)回収技術を供与すると発表した。同技術は,既設の石油化学プラントから放出される燃焼排ガス中のCO2を回収するもの。GPICは,同技術を適用したCO2回収プラントを計画しており,回収したCO2は尿素とメタノールの増産に利用する。CO2回収能力は世界最大級の450t/日で,2010年1月に完成する予定だ。

 GPICに供与するCO2回収技術は三菱重工と関西電力で共同開発したもので,他の方式に比べてエネルギ消費量が大幅に少ない点に特徴がある。GPICでは,メタノールの製造工程において特殊な吸収液「KS-1」を用い燃焼排ガスからCO2を分離/回収し,それを尿素およびメタノールの合成プロセスに原料として供給することになる。排ガスからのCO2回収率は約9割という。

 GPICは,バーレーン政府とサウジアラビア,クウェート両国の企業が出資して1979年に設立された。三菱重工はGPICに対し,1998年に生産能力1700t/日の尿素肥料製造プラントを納入した実績がある。なお,今回の回収CO2は,まさに同プラントの増産用に利用される。

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