図1 従来のWoooに比べて「シンプル」と感じさせる設計に
図1 従来のWoooに比べて「シンプル」と感じさせる設計に
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図2 電源基板とみられるユニットを覆う用途不明なシート
図2 電源基板とみられるユニットを覆う用途不明なシート
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図3 このシートの一部を燃やしてみた。難燃性があるようだ
図3 このシートの一部を燃やしてみた。難燃性があるようだ
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 日経エレクトロニクス分解班は,表示部背面の筐体を取り外した。現れたのは,液晶パネル・モジュールの背面に整然と取り付けられた各種の基板類である(図1,Tech-On!関連記事)。

 分解に立ち会った技術者の一人は言う。「今まで,何回か日立の液晶テレビを分解してきた。今回は,以前と比べると筐体を取り外したときの印象があまりにもスマートで,『日立らしく』ない。これまでの同社のテレビは,とにかく『重装備』なことで有名だった。今回は同社にとってかなりの冒険だっただろう」――。前回の記事(Tech-On!関連記事)にあるように,ほかの技術者が思わず「シンプルだ」と声を上げた理由の一つはここにある。

 いよいよ,目の前に現れた基板類の分析に入る。と,その瞬間,技術者の手が止まった。

「見たことがない」――。

 技術者はつぶやいた。

 視線の先には,今回の製品を実現した主要技術である超薄型電源基板とみられるユニットを覆う部品があった。クリーム色のその部品は,電源基板とみられるユニットをすっぽりと覆っている(図2)。材質は樹脂ではない。紙か,あるいは繊維状の特殊な素材か。材質を示す表記もなく,よく分からない(図3)。

 技術者は続けた。「絶縁シートだろうか。だとしても,こんな色と材料のシートは初めて見た。何のために,このような特殊なシートを採用したのか見当が付かない」。

 ほかの会社の技術者も頭を抱える。「私もこのシートは初めて見た。背面の筐体が樹脂であるため,絶縁シートではないかもしれない。電源基板をホコリから守るためなのか,あるいは筐体に電源基板の熱を伝えないようにする部品なのか…」。

 多くの技術者を困惑させたこのシートの解析については,とりあえず後回しにした。そして,話を元に戻して,いよいよ基板類の分析に取り掛かる。

 もちろん,最初に見たいのは,超薄型化を図った電源基板である。あの用途不明なシートの中に隠れているはずである。はやる気持ちを抑えて,シートを取り外した…。

さらに詳しい内容は、日経エレクトロニクス1月28日号に掲載予定。

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