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法政大学 准教授 白田秀彰氏インタビュー,「法は単なる調整手段,技術者は自由に進め」

法政大学 白田秀彰氏

2007/12/14 09:30
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音楽や映像コンテンツの著作権やその保護手段に関連する問題をめぐり,機器メーカーと著作権や著作隣接権の権利者団体との間で対立が深まっている。日経エレクトロニクスでは,著作権法の研究者であり,「MiAU(インターネット先進ユーザーの会)」の発起人の一人でもある白田氏に,こうした一連の議論と著作権法そのものの在り方について聞いた。日経エレクトロニクス2007年12月17日号に掲載したインタビューの全文を掲載する。(聞き手=竹居 智久,山田 剛良)


-なぜ機器メーカーと権利者団体の間の溝が深まってしまったのでしょうか。

写真:栗原 克己

  著作権関連のある権利者団体の人と公開討論会で同席した時のことです。その人の「メーカーの皆様には,コンテンツの権利を尊重するテクノロジー作りをお願いしたい」という発言に私はがくぜんとし,その場で強硬に抗議しました。

  法の中心にあるのは自由です。技術者がどのような技術を開発するかは技術者が決めること。機器の質を高めるために技術の先鋭化を進めるのが技術者の本分です。これに対して,現在の秩序を崩さない丸まった技術だけを要求する。他人の自由を侵す傲慢に無自覚すぎると感じたからです。知的な営みの一つである技術開発は,文明を支えてきました。それが,ある特定の産業を守るために方向性を指図されたり,我慢したりするというのは,相当おかしな状態です。

  例えばDAT。最近はすっかり見掛けなくなりました。著作物を技術的に保護する手段によって,不便さが目立つ機器になってしまったのが理由の一つだと思います。権利者の要求に応えるために,ユーザーに迷惑をかける機能をわざわざ実装する。その結果,自分が一生懸命設計した機器が消えてしまう。そのときの技術者の気持ちを思うと本当に悲しくなります。

  私は昔からラジコンやオーディオ,コンピュータのプログラミングなどの趣味にかなりの時間を費やしており,理系の道に進みたいという思いがありました。残念ながら挫折して法学の道に進んだのですが,著作権法の研究を志したキッカケの一つは,コンピュータのプログラムに著作権が関係すると知ったことでした。現在でも高性能オーディオ機器などから透けて見える,可能な限りシンプルなシステムこそが最善であるといった技術者的な思想に強く共感しています。

  音楽などの創作物には,素晴らしいものが多くありますし,その作者らによる知的努力を心から尊敬します。かといって,技術者の知的努力や「開発した技術を残したい」という思いをないがしろにしていいのでしょうか。著作権関連の権利者団体の人にこういう疑問を投げ掛けると,たいてい「それは関係ない」という答えが返ってきてしまいます。最近のメーカーと権利者団体のやり取りを見ていると,メーカーの技術者たちに,権利者の主張は受け入れるべきものという固定観念があるように感じます。法律も人間が作ったものであり,絶対ではない。「この決まりはおかしい。社会的な不利益が生じる」と技術者や産業界は強く主張してもよいのです。

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