NECの「PasoWings」
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WiMAXとLTEの位置づけ
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WiMAXを使ってコンテンツをダウンロードする際に必要な時間の例
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PasoWingsの基地局装置
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 NECは2007年12月10日,モバイルWiMAXや3GPP LTE(Long Term Evolution)など,モバイル・ブロードバンド分野への取り組みに関する説明会を開催した。国内外で今後,モバイルWiMAXやLTEによる無線サービス市場が立ち上がると見ており,そのための製品展開に力を入れていく方針を打ち出した。

新たなブランドを投入

 まずモバイルWiMAXに関しては,製品ブランド「PasoWings」を立ち上げる(発表資料)。PasoWingsは,モバイルWiMAXサービスに向けた基地局やアンテナ,無線アクセス装置やサーバ機器,さらに端末側のPCMCIAカードまでを含む製品ブランドとなる。通信事業者に向けた,統合ソリューションと位置づける。NECは既に,「PASOLINK」というブランドのマイクロ波通信システムの製品群を展開しており, 世界129カ国に納入実績がある。この「PASO」の名称を冠することで,国内外の事業者への納入を有利に進めたい考えだ。

 LTE向け伝送装置に関しては,NTTドコモが商用サービスを予定している「Super3G」の基地局装置の開発/製造ベンダーに選定されたことを明らかにした(発表資料)。Super3Gは,データ伝送速度が下り方向で100Mビット/秒以上,上り方向で50Mビット/秒以上と高速なのが特徴である。NECは既に,Super3G向けの携帯電話端末の製造ベンダーとして選定されていた。

モバイルWiMAXが先行

 NECは説明会において,モバイル・ブロードバンドによるアプリケーションの想定例について述べた。例えば駅構内などで電車を待つ間に,新聞や雑誌のデータ,音楽ファイル,音声ニュースや動画ファイルを無線でダウンロードする用途があるという。「モバイルWiMAXを使って約40Mビット/秒のデータ伝送速度が確保できる場合には,新聞のデータで約0.2秒,音楽1曲が約1秒,ニュースの音声ファイルが約2秒,ビデオクリップが約3秒でダウンロードできる。売店などに並ばなくとも,所望のコンテンツを得られる」(NEC 執行役員 モバイルネットワーク事業本部長の遠藤信博氏)。

 NECはモバイルWiMAXやLTEにより,新たなビジネスが誕生すると期待する。「好きな時に好きな場所で,自分好みのコンテンツを取りにいく。これまでリビングでやっていたことが,どこでもできるようになる。ワイヤレスで様々な情報を取ってくるというのは,新しいビジネスにつながると考えている」(NECの遠藤氏)。

 説明会では,モバイルWiMAXやLTEの伝送装置を使った動作デモを披露した。NECによれば,まずはモバイルWiMAX関連の市場が2008年から立ち上がるという。LTEに関しては現在,3GPPでの標準化が最終段階を迎えている。このためサービスが始まるのは,2009年後半から2010年ころになるとみられる。

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