テレビ番組や映画,音楽などのコンテンツの著作権に関連する権利者団体が2007年12月7日を期限に回答を求めていた「公開質問状」に対し,電子情報技術産業協会(JEITA)が一切の回答を見送ったことが明らかになった。この公開質問状は,私的録音録画補償金制度の見直しに関連したJEITA関係者の一連の発言が,いわゆる「コピー・ワンスの緩和」に関する合意を破棄する意図を含むとして,権利者団体がJEITAの真意を問う目的で送っていた(Tech-On!関連記事)。公開質問状に名を連ねたのは,日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本芸能実演家団体協議会,日本映画製作者連盟など28団体で構成する「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」と,それに賛同する日本芸能実演家団体協議会加盟の59団体。

 この質問状への回答を見送った理由としてJEITAは本誌の取材に対し,
(1)JEITAは地上デジタル放送の普及を推進しており,コピー・ワンスの緩和に関する合意に賛同している
(2)私的録音録画補償金制度の見直しを議論する公の場として,文部科学大臣の諮問機関である文化審議会が開催する「私的録音録画小委員会」などがあり,あえて別の場で回答するのは混乱を招く
(3)公開質問状にある個別の質問に関するJEITAの意見は,既に公の場(例えば,総務省が8月に実施した「デジタル・コンテンツの流通の促進に向けて」に関する意見募集や文化庁が10月に実施した「私的録音録画小委員会中間整理」に関する意見募集に提出した意見)で明らかにしており,特に変更していない
といった理由を挙げている。

 権利者会議は現在,この問題に関して対応を検討中。「来週にも記者会見を開いてコメントを発表する」(日本芸能実演家団体協議会 常任理事の椎名和夫氏)としている。