東レはこのほど,サウジアラビアの大型海水淡水化プラントで使う逆浸透(RO)膜を受注した。納入するのは,紅海沿岸の同国第2の都市,ジェッダ市南方に位置するシュアイバ工業地区に建設されるRO法プラント。造水量は15万m3/日で,2009年に稼働する予定。プラント建設は,韓国の斗山重工業が担当する。

 サウジアラビアは世界最大の海水淡水化市場で,2005年には年間12.4億m3の水が生産されている。うち,85%強が蒸発法などを採用し,RO法プラントはまだ少ない。東レの大型海水淡水化プラント向けRO膜の受注は,対サウジアラビアでは2000年のアル・ジュベイル海水淡水化プラント以来。RO膜を納入した海水淡水化プラントとしては,2006年に受注したアルジェリアのハンマ海水淡水化プラント(造水量20万m3/日)に次ぐ規模となる。

 世界的な水不足の進行や水資源確保の要請などから,RO膜市場は年率8%以上拡大しており,今後も米国,欧州,中東/北アフリカ,中国を中心に着実な成長が予想される。加えて,都市下廃水の再利用といった新しい市場も育ちつつある。こうした需要の伸びを受けて東レでは,2007年4月に愛媛工場と米トーレ・メンブレン・USA社の日米両工場でROエレメントの生産設備を増設し,さらに同年11月には愛媛工場の製膜設備に新系列を追加し生産能力を2倍に高めた。

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