第2部<インタフェースLSI>
2001年には1チップに「5米ドル」が射程に入る

 日米欧の半導体メーカ各社によるBluetoothインタフェース用チップ・セットの開発が佳境を迎えている。出荷時期のターゲットは2000年半ばから2001年。このときに,携帯電話機やノート・パソコンなどへの搭載が本格化するとみているからだ。急速に立ち上がろうとする需要に乗り遅れまいと,各社とも開発のピッチを上げている。

 チップ・セットを出荷する半導体メーカの数は,これまでの数社から,10数社へと大幅に増える。たとえば富士通,日立製作所,米National Semiconductor Corp.,オランダRoyal Philips Electronics N.V. ,米Philsar Electronics Inc.,米Silicon Wave,Inc.,米TI社(Texas Instruments Inc.),などは,2000年初めという出荷予定を明らかにしている(。Bluetoothインタフェース対応機器を開発する技術者にとっては,選択の幅が大きく広がることになる。これまでは,スウェーデンEricsson社など数社が提供している送受信モジュールをほぼそのまま使うなど,手は限られていた。


Bluetooth向けチップ・セットやモジュールの出荷予定
Bluetooth向けチップ・セットやモジュールの出荷予定Bluetooth用送受信モジュールや,チップ・セットの出荷予定をまとめた。チップ・セットでは,1999年ころには3チップ構成が主流だったが,2000年中旬には,2チップ構成品が登場してくる。2001年前後には1チップ製品が出てくるもよう。(図:各社の資料とアンケート結果を基に本誌作成)

 まだ具体的な仕様を公開している半導体メーカは少ないが,性能面での差異化は難しそうだ。そのため,し烈な価格競争が繰り広げられることになる。現状では,モジュール当たりの価格が20米ドル~30米ドル程度といったところだが,2000年後半にはチップ・セットの価格が10米ドル程度になる。さらに2001年には5米ドルまで下がる見込みだ。

 2000年半ばに各半導体メーカが投入するチップ・セットは,2チップ構成とする製品が主流になりそうだ。ベースバンド処理LSIとRFトランシーバLSIから成る。現状のEricsson社の送受信モジュールなどでは,これらの2チップにフラッシュEEPROM を加えて3チップ構成としている。2000年後半に登場するチップ・セットは,このフラッシュEEPROMあるいはその代用となるメモリをベースバンド処理LSIに集積することで,2チップにまとめる。 たとえば…

主な半導体メーカのBluetooth向けチップ・セットおよび関連製品の開発状況例(表:本誌)

メーカ名 仏Alcatel社 米Atmel Corp. スウェーデンEricsson社 富士通 日立製作所 松下電器産業 三菱電機
製品の構成 1チップ品(ベースバンド処理LSIとRFトランシーバLSIを1チップに収める) 送受信モジュール(ベースバンド処理LSI「AT76C551」,RFトランシーバLSI「T2901」,フラッシュEEPROM,アンテナなど) 送受信モジュール(ベースバンド処理LSI,RFトランシーバLSI,フラッシュEEPROMなどを集積) 2チップ構成品(ベース・バンドLSIとバイポーラCMOS技術を使ったRFトランシーバLSI) 2チップ構成品(1チップ品は2001年ころに) 未定(1チップ品は2001年以降) 2チップ構成品(CMOS技術を使った1チップ品は2001年後半に)
価格 未公表 未公表 20米ドル前後 10米ドル前後 未定 10米ドル以下 10米ドル以下
Bluetoothインタフェース向け製品の出荷予定 2000年後半 2000年第1四半期 出荷中 2000年第1四半期にサンプル出荷 2000年 2000年ころ 2000年第3四半期にサンプル,2001年春に量産
メーカ名 米National Semiconductor Corp. カナダPhilsar Electronics Inc. オランダRoyal Philips Electronics N.V. 米Silicon Wave,Inc. 米Texas Instruments,Inc. 米 Extended Systems Inc. 米Widcomm,Inc デンマークDigianswer A/S
製品の構成 3チップ構成品(2000年夏ころ2チップ構成品を出荷予定) 2チップ構成品(カナダMitel Semiconductor社のベースバンド処理LSIと合わせて,チップ・セットとして提供) 3チップ構成品(2000年4月に2チップ品を出荷予定) RFトランシーバLSI 2チップ構成品(ベース・バンドLSIは0.18μmのCMOS,RF LSIは0.25μmのバイポーラ-CMOS) ミドルウエア(HCI,L2CAP,
SDP,RFCOMM,
Dialling&Control,
TCSバイナリ,
OBEX,IrMCなど。格納に必要なメモリ量は約50Kバイト)
ミドルウエア(pSOSや Vxworksなどに移植する予定) PCMCIAカード用開発キット/RS-232Cアダプタ用開発キット
価格 約20米ドル(2チップ品では10米ドル程度に) 未公開 10米ドル前後 未公表 当初は15米ドル程度。数が出れば6~10米ドル 未公表 未公表 62万5000円
Bluetoothインタフェース向け製品の出荷予定 出荷中 2000年1月からサンプル出荷 2000年1月 出荷中 1999年第4四半期からサンプル出荷 販売中 販売中 出荷中