アンリツが,自社製シグナル・アナライザ「MS269xAシリーズ」の応用分野を拡大する機能拡張オプションを3種類発売した(ニュース・リリース)。それぞれ,携帯電話の小型基地局の開発・製造,第4世代携帯電話システムの開発,車載機器向け無線通信に関連した製品の製造などの利用を想定している。

 今回アンリツが発売したオプションのうちの一つは,1台のシグナル・アナライザでW-CDMA基地局の送受信試験を行うためのRNCシミュレータ「MS269xA-030」である。携帯電話の圏外地域の解消に向けて,総務省が携帯電話基地局の設置を自由化する制度改革に着手している。これに呼応して,基地局メーカーでは,「フェムトセル」と呼ばれる小型基地局の開発が活発化しており,今後は製造用の測定器のニーズが拡大すること予想されている。しかし,従来の基地局向けの送受信試験では,個別の送信機テスタ,信号発生器,RNCシミュレータを組み合わせて大掛かりな試験システムを構築する必要があり,製造用には向いていなかった。今回発売した製品では,既にMS269xAシリーズのオプションとして販売しているベクトル信号発生器「MS2690A/MS2691A/MS2692A-020」とW-CDMA BS測定ソフトウエア「MX269030A」と併せて搭載することによって,ATM1.5M/2M対応のW-CDMA基地局送受信試験が可能になる。
 
 二つ目の製品は,第4世代携帯電話など次世代移動通信システムに向けた高速かつ高確度でのFFT(fast fourier transform)測定用の広帯域解析ハードウエア「MS269xA-004」である。MS269xAシリーズに搭載して,最大125MHzまでの周波数帯域で高速・高確度なFFT測定を行うことができる。第4世代携帯電話システムの研究や瞬時雑音による不具合のトラブル・シューティングなどに必要になる測定器である。
 
 三つ目の製品は,ETC(electronic toll collection)やDSRC(dedicated short range communication)に向けた車載機器用無線通信機器のRF測定用ソフトウエア「MX269014A」である。MS269xAシリーズにインストールすることによって,ARIB STD T75に準拠したRF送信測定を行うことができる。変調解析が,π/4DQPSK変調時には110m秒,ASK変調時には190m秒と高速でできる点が特徴である。加えて, ETC/DSRCが運用される5.8GHz帯において±0.6dBと優れた平均電力の測定確度を実現している。