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 総務省は2007年11月22日,2.5GHz帯を利用した「広帯域移動無線アクセスシステム」に関する公開カンファレンスを開催した。最大2枠しかない事業免許に4グループが名乗りを上げているため,各グループに事業計画やその特徴を公開の場で発表させることが主旨の会議である。
 
 参加したのは,(1)アッカ・ネットワークスやNTTドコモが出資するアッカ・ワイヤレス,(2)ウィルコム,(3)イー・アクセスやソフトバンクが出資するオープンワイヤレスネットワーク,(4)KDDIや米Intel Capital Corp.などで構成するワイヤレスブロードバンド企画,の4グループ。カンファレンスでは,各グループが今後の事業計画について発表した(表)。これら競争関係にあるグループにとっても「他グループの事業計画を知るのは今回が初めて」(オープンワイヤレスネットワーク 代表取締役で,ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏)という。

 各社の事業計画で大きな違いとなって現れたのは,設備投資費と基地局の展開スピードである。9割以上のエリア・カバー率を達成するのに必要な設備投資額が最も多いのは,オープンワイヤレスネットワークで約2500億円である。一方,ワイヤレスブロードバンド企画は約1440億円で,オープンワイヤレスネットワークの6割弱と少ない。この点について,ワイヤレスブロードバンド企画は,安価な小型基地局や高い効率の増幅器を開発したことなどを設備投資額が少ない理由に挙げた。

 基地局の展開スピードが最も早いのは,ワイヤレスブロードバンド企画である。同社は,2012度末には全国の9割超をカバーしてしまう計画である。これに対し,オープンワイヤレスネットワークやアッカ・ワイヤレスが9割をカバーするのは,2014年度末ころと,2年も後になる。

 公開カンファレンスでは,各社の発表に続いて,お互いの討論会も実施した。その中で各社が最も強調した点は,アッカ・ワイヤレスが「新規事業者の参入による競争の促進」,ウィルコムが「国産技術の推進」,オープンワイヤレスネットワークが「事業参入への熱意」,ワイヤレスブロードバンド企画が「総合的な技術力」,だった。

 総務省は2007年12月中に,事業免許を認可する1~2グループを決定する。どこが選ばれるにせよ,審査基準の透明性が重要になることは間違いないだろう。