トライピークスは2007年11月6日,組み込みLinuxの起動時間を短縮する「TP InstantBoot」のx86版を発表した。2006年5月に発表したMIPS版に続く第2弾という位置づけである。短縮時間は機器の構成などによって変わるが,例えば米Advanced Micro Devices,Inc.の「Geode LX800」を搭載したパソコンで,デスクトップ環境「Gnome」が動作した状態を回復するのに,通常の起動だと2分30秒程度かかるものが15~16秒程度に短縮できる。

 基本はカーネルに組み込むデバイス・ドライバ「InstantBootドライバ」と,ブート・ローダーの拡張部分から構成される。デバイス・ドライバはアプリケーション・ソフトウエアなどから呼び出されたときに,動作中のスナップショットを作成し,HDDなどのストレージに保存する役割と,起動時にデバイスの初期化を実行する役割を担う。ブート・ローダーの拡張部分は起動時にイメージを転送してメモリに展開し,保存直前のInstantBootドライバの状態を回復させるもの。これらの組み合わせによって起動時間を短縮する。「カーネルを最適化することによって,OSの起動時間を短縮する方法もあるが,それだとアプリケーション・ソフトウエアの起動時間を短くできない。またチューニング作業が複雑になる。InstatBootを使えばこうした問題を解決できる」(取締役 最高技術責任者の湯浅陽一氏)。基本的なアイデアはWindows XPなどが搭載する「休止状態」などと同じだが,「コールド・ブートからの起動に特化している。Windowsの休止状態やLinuxのSuspend/Resumeはある程度OSが起動してから適用されるので,起動時間の短縮効果が小さい」(湯浅氏)。

 価格はx86向けが248万円から,MIPS,SH,PowerPC,ARM向けが98万円から。2006年の発売以来,三洋電機の液晶テレビ「SX200」シリーズなど,既に10プロジェクト程度に採用されている。

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