図1 Symbian社 Chief Executive OfficerのNigel Clifford氏
図1 Symbian社 Chief Executive OfficerのNigel Clifford氏
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図2 2007年の第3四半期までの出荷本数が2006年の出荷本数を超えた
図2 2007年の第3四半期までの出荷本数が2006年の出荷本数を超えた
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 英Symbian Ltd., Chief Executive OfficerのNigel Clifford氏が来日し,都内で記者発表会を開催した。Clifford氏は2007年第3四半期の業績を発表し,「Symbian OS」を搭載した携帯電話機の出荷台数が前年同期比56%増になったと好調ぶりをアピールした(図1)。しかし多くの報道陣が興味を持っていたのは,米Google Inc.が直前に発表した「Android」に対する同社の反応だった(速報続報)。記者発表会ではAndroidや業界団体「Open Handset Alliance」に関する質問が相次いだ。

 Symbian社は2007年第3四半期のSymbian OS搭載端末の出荷台数が2040万台(前年同期は1300万台)だったことを明らかにした。2007年は第3四半期までに5490万台を出荷したことになり,既に2006年の5170万台を上回った(図2)。

 2007年第3四半期の端末1台当たりのロイヤルティー収入は平均4.8米ドル(前年同期は平均5.2米ドル)で,売上高は5240万ポンド(前年同期は4030万ポンド)だった。「1台当たりのロイヤルティー収入が下がったのは,出荷本数を増やすことを狙った戦略的な価格体系を18カ月前に導入した結果である。その戦略がうまく運んだことは,出荷本数が増えたことからもわかるだろう」(Clifford氏)。Super3Gなどに向けた通信アーキテクチャ「FreeWay」や高解像度のディスプレイに向けたグラフィックス処理アーキテクチャ「ScreenPlay」の開発,英ARM Ltd.のマルチCPUコア「Coretex-A9 MPCore」における対称型マルチプロセシングへの対応など,携帯電話機の進化に向けた取り組みも着実に進めているとした。

 報道陣からは,Google社が主導する業界団体であるOpen Handset Allianceに対してどのような対応を採るのかといった質問が飛んだ。これについてClifford氏は,「Open Handset Allianceへの加入の打診はなかった。AndroidはLinuxから派生したOSだというが,世の中には携帯電話機向けのLinux OSが20以上もある。発表内容を精査している段階なのでまだ詳細は分からないが,現時点ではそうしたOSの一つだと考えている」とした。

 また「Google社という巨大な企業と競合するということで,これまでと変わるのではないか」という質問に対しては,「これまでも我々はMicrosoft社などの大企業と競合してきた。OS分野の競争ではチャンスがあるだろう」(Clifford氏)と自信を見せた。

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