図1 オムロンが開発した二輪車を検知する画像処理システム
図1 オムロンが開発した二輪車を検知する画像処理システム
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図2 画像処理システム用の基板
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 オムロンは,一つのカメラによる映像で,自動車と二輪車を見分ける画像処理システムを開発した(図1)。自動車の左折時に,運転者の死角に入りやすい二輪車を検知して,巻き込み防止を支援する用途などを想定している。新交通管理システム(UTMS)が宇都宮市で実施するITSの実証実験「DSSS」(Tech-On!関連記事)に適用している。今回のシステムは,同社がこれまで開発してきた,カメラを使った交差点の交通量調査システムを応用したものである(Tech-On!関連記事)。

 画像処理のアルゴリズムは,東京大学 生産研究所 上條研究室が開発した「時空間MRF(Markov Random Field)モデル」に基づいている。この手法により,画像上で重なった複数の物体をそれぞれ追跡することができるという。移動体を画像ブロックの「集合体」と捉え,画像の時間変化から集合体の座標や動きベクトルなどを取り出し,画面上の移動する物体を認識する。移動する物体を抽出した後,自動車と二輪車の識別する。昼間は集合体の形状や速度などから,夜間はヘッド・ライトの光を基に推定するという。

 今回のシステムでは,カメラとして交通システムで一般的に使われている監視カメラを使う。撮像素子はモノクロCCDで,画素数は約30万画素である。認識率は95%以上を目標としているという。画像処理用のLSIとして,Texas Instruments製のクロック周波数500MHzのDSPを使う(図2)。

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