ダイハツ工業は,2007年度中間期(2007年4月~9月)の業績を発表した。売上高は前年同期比8.1%増の8186億5900万円,営業利益は同24.4%増の250億7400万円,純利益は同12.7%増の126億4200万円で,いずれも上期として過去最高となった。

 自動車の販売台数は国内(ダイハツ車)が前年同期比3%減,海外(同)が同8%増,受託車が同1%減,OEM車が同11%増で,合計では同1%増の63万7800台だった。

 主力の国内事業は,販売台数は落ち込んだものの,売上高は前年同期比3.5%増の6796億円,営業利益は同13.9%増の166億4500万円と増収増益だった。大分工場(大分県中津市)の第1工場内で稼働している自動機を半自動機に置き換えるなど,コスト削減策の効果が大きいという。「自動機は故障すれば工場の稼働率が落ちるし,メンテナンス費用もかさむ。半自動機に置き換えたことで稼働率が安定し,利益率が上がった」(取締役社長の箕浦輝幸氏)。

 ダイハツは2007年末の稼働開始を目指して,大分工場の敷地内に第2工場を建設している(Tech-On!関連記事)。「第2工場は第1工場の約1/2のスペースと投資で,第1工場と同等の生産能力を実現できる」(箕浦氏)という。同社は自動車需要が全体的に軽自動車などの小さな車にシフトしているとみており「今後はもっと安い車が必要になってくる。(自社の製品系列の中で)一番小さな車であっても利益を上げなければ」(箕浦氏)とし,コスト削減を徹底して進める考えだ。大分第1工場で成功したコスト削減に向けた各施策を今後はインドネシア工場にも適用していく。

国内の軽市場は「高水準」

 需要の減退が伝えられる国内市場について,同社は軽自動車市場に限ると2007年度も「高水準で推移している」(箕浦氏)とみる。箕浦氏は2007年度の市場規模を前年度から9万台減の194万台と見込んでおり「モデルチェンジがほとんどない中では高水準。2008年度も同等の規模を予測している。若者には買いたい商品がたくさんある。車にだけ金をかけられない。こうしたユーザー志向や社会環境をかんがみるに,小さな車への需要のシフトはますます進むはずで,軽自動車の市場が極端に縮小するとは考えにくい」との持論を披露。「軽自動車の国内市場におけるシェア首位を維持し,軽自動車で利益を上げる」との経営方針を示した。

 なお,2007年10月31日に新聞紙面で,富士重工業がダイハツに中型車を,ダイハツが富士重に軽自動車と小型車を供給する計画と報じられた件に関しては「何も決まっていない。そもそも検討していない」(箕浦氏)とコメント。大分第2工場の建設は,既存工場の慢性的な稼働時間延長の解消などが主な目的と説明した。

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