米研究機関が超高感度の磁気センサ開発,乾電池で動作し米粒大
米国の研究機関 National Institute of Standards and Technology(NIST)は,70femto Tesla(fT:10−15T)という極めて微弱な磁束密度を検知できる磁気センサを試作したと発表した。2007年11月1日付けの学術雑誌「Nature Photonics」に論文を掲載した。
NISTによれば,今回の磁気センサは,超電導を利用した磁気センサのSQUID(super conducting quantum interferece device)に匹敵するほど高感度でありながら,単3形の乾電池1個で動作するほど低消費電力で,大きさは米粒大と非常に小型,さらにMEMS技術を利用し低コストでの製造が見込めるという。このため,脳の活動状態を頭蓋骨の外から検知する脳磁図(MEG),心臓の働きを測定する心磁図(MCG)などへの応用が期待できると主張する。
試作した磁気センサは,数mWと低出力の赤外線レーザ素子と寸法が3mm×2mm×1mmの小さなコンテナから成る。コンテナには,1兆個のルビジウム(Rb)原子のガスを封入している。レーザ光がガス中を通過する際の吸光度を測定することで,磁束密度の強さが分かるという。70fTは,地磁気のおよそ1億分の1という大きさ。磁気感度では3〜40fTのSQUIDにまだかなわないが,単位体積当たりの性能ではSQUIDを上回るという。「今後の改良で10fT台の実現も可能」(NIST)。
磁気の測定原理は「SERF(spin-exchange relaxation free)」というもの。ルビジウム原子などのガスのスピンから成る磁場が離散的なエネルギー準位を取り,レーザ光などによって状態が変わることを利用する。一般に気体を構成する原子または分子はランダムに動いて衝突を繰り返しているが「弱い磁場中で温度を150℃にすると,10msという比較的長い時間,原子同士が互いに衝突せず,ある種の集団行動を取る」(NIST)のだという。


















