12月中旬に発売するHD DVDレコーダー「RD-A301」
12月中旬に発売するHD DVDレコーダー「RD-A301」
[画像のクリックで拡大表示]

 東芝は2007年10月31日,HD DVDレコーダーの新機種「HD DVD ヴァルディア RD-A301」を12月中旬に発売すると発表した。予約販売は,11月1日に開始する。販売価格はオープンとして明確にしなかったが「10万円を切って欲しいというユーザーの期待に応えたい」(東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏)とした。

 RD-A301の特徴は,(1)HD DVD-Rに記録する際に,映像データの符号化方式をMPEG-2からMPEG-4 AVC/H.264(以下H.264)に変換するトランスコーダを搭載,(2)HDTV映像データを従来のCPRM対応DVD(DVD-RAM,DVD-R,DVD-RWなど)に記録できる機能「HD Rec」規格に対応した,(3)D-VHSからi.LINK経由のダビングに対応した,(4)「ダビング10」機能を実現する将来のバージョンアップへ対応する,などの点。

 (1)のトランスコーダを利用すると,映像データをMPEG-2の1.5~2倍の圧縮率でHD DVD-Rに記録できるメリットがある。ただし,トランスコーダを利用するには,一度HDDにMPEG-2 Transport Stream(TS)信号を記録する必要がある。

 (2)のHD Recは,H.264,MPEG-2(SD)に加えて,MPEG-2 TS方式の映像信号をそのまま従来のDVDに録画する機能の規格。ただし,今回の製品では,記録や再生に制限がない完全対応は8倍速のDVD-Rだけである。

 (4)のダビング10は,総務省の情報通信審議会で提案された録画の新ルールで,アナログ機器へのコピーの回数制限を撤廃し,デジタル機器についてもコピー9回とムーブ1回を可能にするというもの。ただし,技術仕様などの詳細が決められるのはこれからである。

BD陣営とはHD Recで差を付ける

 (1)~(4)の中で,東芝がBlu-ray Disc(BD)陣営と競争する際の「新たな競争原理」と位置付けるのが(2)のHD Rec規格への対応である。BD陣営もHD Recに相当する技術仕様を「AVCREC」として策定しているが,H.264での録画だけを規定し,TSでの録画はできない。しかも,現時点でAVCRECに対応しているのは,松下電器産業だけである(CEATEC 2007での関連記事)。「AVCRECにも対応しないBD陣営のメーカーは我々との競争の対象にならない」(東芝)とした。

この記事を英語で読む

この記事を中国語で読む