出力ポート側のダイオードの配線を束ねた次は,入力ポート側の配線だ。入力ポート側には,タクトスイッチからの配線を三つ束ねて接続する。ただし,出力ポート側と違って,離れたタクトスイッチ同士をつながなくてはならない。ここはリード線の出番となる。

 タクトスイッチの端子を挿入した穴の隣に,リード線を表から挿入し,裏側ではんだ付けをする。こう思ってリード線の被覆をワイヤーストリッパーで剥く。このような作業は,昔プラモデルを作るときに,ニッパーとかで散々苦労した思い出がある。ところが,ワイヤーストリッパーを使えばいとも簡単に被覆だけを剥いでくれる。

 ここでトラブル発生。プリント基板の穴が小さいのかリード線の径が太いのか,どんなによじってもリード線が穴に入っていかない。仕方がないので,配線は表には出さずに,裏側でタクトスイッチの端子とリード線を直接はんだ付けする。「こんな方法じゃ読者に叱られるかもしれないなー」と同僚はあまり納得していないようだが,すべての元凶は,秋葉原での買い物の際に基板とリード線の組み合わせを吟味しなかった彼にある。

 挿入ができないので,ちょっとはんだ付け前の部品の保持に安定感が欠けるような気がする。はんだ付けの方法は,よじったリード線の先にはんだを載せた状態にした後で,タクトスイッチの端子に接触させて,はんだを足す。あらかじめリード線にはんだを含ませることで,割と楽に配線ができる。


タクトスイッチの端子をリード線ではんだ付け。いろいろな色のリード線を使ってみる

 購入したリード線は,7色分が1パックに入っている。そこで,接続する入力ポートごとに色を変えてみたところ,それなりにプリント基板の裏側が華やかになってきた。

 次はいよいよマイコンが搭載された基板を接続する。配線図を見ると,入力ポートにはP74~77を,出力ポートにはP70~72を使用する。基板には穴に番号がふってあるので間違えることはない。ただし,穴の間隔が部品を取り付けていたプリント基板に比べて非常に狭いので,はんだ付けの作業には注意が必要となりそうだ。


マイコン基板へリード線を付ける。穴の感覚が狭いので,慎重に作業を進める

 まずは細かい作業から,ということで,7本のリード線をマイコン基板にはんだ付けする。マイコン基板の穴は,穴同士の間隔が狭いものの,穴の径は大きいためにリード線が挿入できる。そこで,被覆を剥いだリード線を基板に挿入して,裏側からはんだ付け。はんだの量はわずかしか溶かすことができないが,どうにか7本のリード線をすべて固定する。

 次に,7本のリード線の逆側を,部品が搭載してあるプリント基板側にはんだ付け。 これで,2枚の基板が7本のリード線によって,接続された状態となった。


マイコン基板とプリント基板を接続

 最後にスピーカとマイコン基板との接続。配線図から,片側を基板のグランドに,もう一方を所定の番号の位置にはんだ付け。これで,すべてのはんだ付けが終了した。

 所要時間は3時間半。何とか半日で製作できた。ただ,出来上がったものは,リード線がプランプランしているので,あまり格好が良くない。マイコン基板とスピーカを,プリント基板の空いたスペースに固定すれば,収まりが良くなるだろうか。


とりあえず完成品。リード線がだらしなく伸びているのがちょっと美しくないが,しっかりはんだ付けされているので,機能は問題ないはず

 いずれにしろ,工作は終わった。後は,これに命となるべくプログラムを搭載するのみ。果たしてスピーカから無事に音は出るのだろうか? まだまだ,元同僚の協力は欠かせないだろう。彼もそれを承知しているようなので,少し安心だ。