図1◎ Hyundai Motor社が出展した「QarmaQ」
図1◎ Hyundai Motor社が出展した「QarmaQ」
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図2◎ 三つのエネルギ吸収体
図2◎ 三つのエネルギ吸収体
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 韓国Hyundai Motor社はクロスオーバー・クーペ「QarmaQ」を第40回東京モーターショー(一般公開日:2007年10月27日~11月11日)に展示した。ドイツ・リュッセルシュハイムのHyundai欧州デザイン・技術センターがデザインし、サウジアラビアSABIC Innovative Plastics(旧GE Plastics)社との技術協力により実現した。これらの技術は、Hyundaiが2008~2014年から発売する新モデルに採用する予定。QarmaQは新技術実証車という位置づけだが、実際に走行も可能という。

 窓はガラスに代わってポリカーボネート「Lexan」製とした(カッコ内はすべてSABICの商品名)。ガラスに比べ、最高で50%軽く、耐衝撃性、形状の自由度が高い。この自由度を生かし、C字形の大きな窓を実現したため、ヘリコプターのように下方を視認できる。表面はすべて「Exatec」でコーティングしてある。薄いガラス状の保護膜を形成し、ひっかき傷から保護する。さらに熱を反射し、内部冷却を助け、空調への負荷を軽減する。もっとも、今回はデザイン性重視の観点から側面衝突に対する安全性を考慮していない。こうしたデザインを市販車に採用するには、安全性の検討が不可欠という。

 前部フェンダーは、射出成形による一体品。車体前端部の下には、三つのエネルギ吸収体を内蔵し、それぞれ違ったエネルギ吸収性能を発揮する。歩行者と衝突したときに衝撃力を吸収し、分散させる。EEVC WG17のPhase2、ユーロNCAP、JNCAP歩行者衝撃要求事項を満たすよう設計してあり、現在、最終検証中。

 水平のボディパネルには複合材「IXIS」を採用し、質量を最大50%削減した。強さは鋼板並みで、エネルギ吸収性能が高い。エンジンフードのような大きくて水平なボディパネルに樹脂を適用するのは、SABIC Innovative Plastics社としても初めての経験。IXISの熱膨張係数の小さく軽くて高剛性という特性がそれを後押ししたとしている。ほかのボディパネルは再生可能な「Xenoy iQ」または「Valox iQ」樹脂製。QarmaQ1台あたりおよそ900本のPETボトルを再利用している。配線におけるPVCへの依存を排除するため、配線やケーブルの絶縁被覆材は「Noryl」とした。超薄肉に被覆でき、ケーブルの重さを最高25%まで軽減できる。

 多くの先進材料を使うことで、QarmaQは、既存の材料を使った車両に比べて約60kg軽くなった。使用した樹脂の量は1台当たり90kgという。米ニューヨーク州のGreenOrder社がQarmaQを監査した結果、約60kgの減量によって、年間80Lのディーゼル燃料を節約でき、温室効果ガス排出量を年間200kg以上減らすことができることが明らかになった。

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