三菱電機の2007年度中間決算(2007年4月~9月)は,営業利益と純利益の両方で上期として過去最高を更新した(PDF形式の発表資料)。売上高は前年同期比5%増の1兆8897億円で歴代2番目の高水準に達し,営業利益は同38%増の1291億円,純利益は同62%増の915億円と大幅に伸長した。ただし,増収980億円のうち440億円が為替の影響によるという。

 好決算に寄与したのは,重電システム部門と産業メカトロニクス部門,家庭電器部門だ。3部門とも増収増益で,上期として過去最高の業績を達成した。重電システム部門は,交通や発電・変電などの社会インフラ事業,昇降機などのビル事業ともに受注,売り上げが伸びた。産業メカトロニクス部門はFPDメーカーの投資抑制の影響があったものの,中国の活発な投資や日系自動車メーカーの好調に支えられて小幅ながら増収増益。家庭電器部門では,欧州をはじめとする海外で太陽電池システムや空調機器が好調に推移した。

販売奨励金の見直しで端末メーカー間の競争激化

 一方,情報通信システム部門は減収減益,電子デバイス部門は増収ながら減益となった。電子デバイス部門は,パワー半導体が好調に推移したものの,中小型の液晶パネルが苦戦したという。情報通信システム部門は携帯電話機事業の低迷が,電子システムなどの好調を相殺した。携帯電話機については下期も改善は見込めないと同社はみている。「総務省のモバイルビジネス研究会(Tech-On!関連記事)で販売奨励金モデルやSIMロックの見直しが促され,実際に通信事業者各社で新料金体系を導入し始めている。パイそのもの(国内の端末需要)が小さくなり競争はまた一段と激化するだろう」(三菱電機 執行役副社長の佐藤行弘氏)。

通期も営業利益,純利益ともに過去最高へ

 同社は,上期の好決算を受けて,通期(2007年4月~2008年3月)の業績予想を上方修正した。売上高は前回予想に300億円を上乗せして前年度比3%増の3兆9700億円,営業利益は330億円上乗せで前年度並みの2330億円,純利益は230億円上乗せで前年度比20%増の1480億円とする。予想の通りになれば4期連続の増収,利益は過去最高水準となる。