MultiPrimaryを使って鮮やかな色の表示を可能にした液晶パネル
MultiPrimaryを使って鮮やかな色の表示を可能にした液晶パネル
[画像のクリックで拡大表示]
MultiPrimaryでの表示方法
MultiPrimaryでの表示方法
[画像のクリックで拡大表示]
MultiPrimaryで用いた2セットの光源の色度図
MultiPrimaryで用いた2セットの光源の色度図
[画像のクリックで拡大表示]

 色度図上での特性が異なる2セットのRGB LED光源を併用して,鮮やかな色を再現するバックライト技術を台湾Chi Mei Optoelectronics Corp.(CMO)が開発した。この技術を用いた液晶パネルを「FPD International 2007」で展示した。「MultiPrimary」と呼ぶこの技術は,カラーフィルタの色数を増やすのと同様の効果を,欠点を補って得るための技術である。

 MultiPrimaryでは2セットのRGB LED光源を使う。一つはNTSC比が88%の色再現範囲をカバーするLEDバックライトで通常使用する光源。もう一つは,GとBの色度図上での特性が1セット目とは異なるLEDを使ったRGB LED光源である。この光源では1セット目では表示領域が狭いシアンに相当する部分の色を補ったNTSC比が65%の色再現範囲をカバーする。両方の光源を合わせると同102%になる。ちなみにRに関しては双方のセットで違いはない。

 カラーフィルタはRGB3色のものを用いる。Y(イエロー)やC(シアン)を加えた5色のカラーフィルタを使って鮮やかな色を表現する技術がある。しかし,開口率や解像度の低下,製造工程数の増加などの欠点があった。今回開発した技術は,従来と同じ3色のカラーフィルタを使用しているためこのような欠点はない。

 120Hzの画像データを,二つの光源を交互に点灯することによって表示する。パネルは,1セット目の光源を使う場合には通常の画像データからシアンに相当する色を抜いた画像データで駆動する。2セット目の光源を使う時には,シアンの部分だけの画像データで駆動する。なお,パネルの表示モードには中間調での応答速度が高いOCB方式を用いている。

 2セット目の光源の使用目的を考えると,Rを入れる必要は本来ないように見える。仮に将来YやM(マゼンダ)に当たる部分を補う必要性が生まれた場合には,1セット目に使ったものとは特性の異なるRを使う可能性がある

【訂正】記事掲載当初,「CMOによると,2セット目の光源にRを入れる必要は本来ないという。ただし,将来YやM(マゼンダ)に当たる部分を補う場合には,1セット目に使ったものとは特性の異なるRを使うことになる」としていましたが,この部分はCMOの正式なコメントではありません。誤解を避けるために「2セット目の光源の使用目的を考えると,Rを入れる必要は本来ないように見える。仮に将来YやM(マゼンダ)に当たる部分を補う必要性が生まれた場合には,1セット目に使ったものとは特性の異なるRを使う可能性がある」としています。記事は修正済みです。

この記事を英語で読む

この記事を中国語で読む