今回の反射型偏光フィルム(右側)では,従来品(左側)よりも10%明るい
今回の反射型偏光フィルム(右側)では,従来品(左側)よりも10%明るい
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従来の反射型偏光フィルムを使った場合(右)と,今回の製品を使いLED個数を10%減らした場合(左)で,輝度が変わらないことを実演
従来の反射型偏光フィルムを使った場合(右)と,今回の製品を使いLED個数を10%減らした場合(左)で,輝度が変わらないことを実演
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輝度を上昇,斜めから見たときの色付きを抑制
輝度を上昇,斜めから見たときの色付きを抑制
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反射型偏光フィルムの構造と,バックライト・ユニットの構成例
反射型偏光フィルムの構造と,バックライト・ユニットの構成例
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 住友スリーエムは,バックライト輝度を10%上昇させる光学フィルムを「FPD International 2007」に出品した。バックライト光をP偏光とS偏光に分離して,液晶パネルの下側の偏光板を透過しない偏光光を反射させることでその偏光光を再利用できるようにする,いわゆる反射型偏光フィルムである。今回展示した製品「LEF-D2-350」は,同社の従来製品「DBEF-D2-400」と比較して,10%の輝度上昇を実現できる。

 輝度上昇は,反射型偏光フィルムの偏光特性を改善することによって実現した。従来は,本来反射させるべき偏光光の一部が透過したり,透過させるべき偏光光の一部が反射したりして,光の再利用の効率を低下させる要因となっていた。今回は,反射型偏光フィルムの中核である多層膜の成膜プロセスを改良することで,こうした要因を抑えている。さらに,この多層膜を挟む拡散フィルムの設計を最適化して,ヘイズ値が低く透明性の高い材料を使えるようにした。拡散フィルムにはポリカーボネート(PC)を使用している。

 今回の反射型偏光フィルムをLEDバックライト・ユニットに使うことにより,バックライト輝度を低下させることなく,LEDの使用個数を10%削減することができる。この結果,LEDバックライト・ユニットのトータル・コストを安くできるという。

 また,今回の反射型偏光フィルムの偏光特性は,特に斜め視野方向での改善効果が著しい。このため,斜めから見たときの色付きを抑制できる。従来の反射型偏光フィルムに比べて,斜め45度方向から見たときの色付きは約半分に抑えられる。従って,広色域を特徴とするLEDバックライトに向いた技術であるとする。

 同社は,この反射型偏光フィルムの出荷を,2007年第4四半期に開始する計画である。

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