篠田プラズマ代表取締役会長の篠田傳氏
篠田プラズマ代表取締役会長の篠田傳氏
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PTAの基本構造
PTAの基本構造
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1m×1mのサブ・モジュールを張り合わせて3m×2mのモジュールにする
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 篠田プラズマは,同社が開発するディスプレイ「PTA(Plasma Tube Array)」の量産出荷を2008年下期に始める。当初は,大きさ3m×2m(142型に相当)のモジュールをセット・メーカーに向けて出荷する計画。モジュールの価格は「数千万円」(同社 代表取締役会長の篠田傳氏)になる見込み。2007年10月26日に,兵庫県神戸市にある同社の本社で開催された記者会見で明らかにした。

 量産出荷に向けて,2007年度中に本社併設の工場(敷地面積4000m2,建屋床面積1500m2)に量産設備の搬入を始める。この工場の生産能力は,大きさ3m×2mの142型換算で,年間最大200台となる予定。量産設備への具体的な投資額は明かさなかったが,「同じ生産規模に相当する液晶パネルやPDPの工場に比べると,1ケタ安い」(篠田氏)とした。

 出荷台数として,2008年度に10台程度,2009年度に100台程度を見込む。「まずは早い段階に,売り上げ100億円の到達を目指したい」(篠田氏)。既に,セット・メーカー複数社と商談が進んでいるという。

 セット・メーカーに出荷する3m×2mのモジュールの仕様は,重さ60kg,輝度1000cd/m2時の消費電力は1200W。画素ピッチは3mmで,720pのHDTV表示に対応する。暗所コントラスト比は1万対1である。

 このモジュールは,フィルム状の表示部(表示フィルム)にデータ・ドライバICを組み込んだ「サブ・モジュール」に,駆動回路などを組み合わせたもの。実際の出荷時には,設置場所などへの運搬性を考慮して,1m×1mの大きさのサブ・モジュールと駆動回路を別々に提供する。設置場所などで,1m×1mのサブ・モジュール6枚を張り合わせ,駆動回路を組み合わせることで,モジュールが完成する仕組みである。1m×1mのサブ・モジュールの重さは7kg以下という。

 PTAは,PDPテレビの生みの親として知られる篠田傳氏が,富士通研究所フェロー時代に開発した技術。「プラズマ・チューブ」を並べて,それを上下からフィルム状の電極で挟み込んだ構造を採る。プラズマ・チューブは,直径1mmのガラス・チューブ内に,放電ガスやRGBそれぞれの蛍光体などを封止したもの。RGBのプラズマ・チューブを横に並べるため,画素ピッチは3mmとなる。発光原理はPDPと同様だが,フィルム基板を用いるため,薄く軽くできるのが特徴である。

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