図1◎「GT-R」のフロントビュー
図1◎「GT-R」のフロントビュー
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 日産自動車は2007年10月24日、第40回東京モーターショー(一般公開日:2007年10月27日~11月11日)で新型「GT-R」を発表した。排気量3.8LのV型6気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力は353kW(480PS)、最大トルクは588N・m。発売は国内が2007年12月6日からで、価格は777万~834万7500円。

 開発コンセプトは「マルチ・パフォーマンス・スーパーカー」とし、乾燥路だけでなく、雨天時や積雪時など、どんなときにでも使える高性能車を目指した。同社はスーパーカーの定義を「パワー・ウェイト・レシオが4kg/PS以下、公道を300km/hで走れること、ニュルブルクリンクサーキットで8分のラップタイムを切れること」としているが、これらを満たした上で、あらゆる状況で使える車がマルチ・パフォーマンス・スーパーカーという。

 運動性能を高められるパッケージ優先で設計され、後輪手前にデュアルクラッチ式の6速AMT(Automated Manual Transmission)を配置するトランスアクスル方式を採用した。トランスアクスルは扁平形状として重心高を下げ、旋回時の安定性を高めている。

 エンジンは「VR38DETT」と呼ぶクローズドデッキ構造を持つ3.8Lエンジン。VQエンジンとボアピッチは同じだが、ボア間にウオータジャケットを持つ鋳鉄ライナーレスのブロックを採用した。潤滑はドライサンプではないが、ターボ冷却用にスカベンジングポンプを備える。

 エンジン出力はCFRP(炭素繊維強化樹脂)製のプロペラシャフトで後輪手前のトランスアクスルに伝えられる。その後、2組の湿式クラッチから中空構造の2軸の入力軸に動力が伝達され、出力軸、後輪デフへと向かう。前輪への出力はトランスアクスル前部に一体化した電子制御カップリングからシャフトが伸びてフロントデフに向かう。デフは前輪がオープンデフ、後輪が1.5ウェイのLSD(差動制限装置)付きである。

 変速機は日産が設計し、愛知機械工業が生産する。クラッチは米BorgWarner社製の湿式クラッチで、三菱自動車工業の「ランサーエボリューションX」やドイツVolkswagen社の「DSG」と同じメーカーだ。変速ギアはトリプルコーンシンクロを採用した。変速機は、マニュアルモードとオートモードがあり、マニュアルモードではステアリング横のパドルを操作してから後輪の駆動力が変わるまで0.2秒というレスポンスの高さを実現している。

 ボディも専用設計で高速走行時のダウンフォースを増すため、フロア面をさげてフラットにする独自構造をとった。通常、フロアの下にはサイドメンバがあるため、フロア下面はフラットにならないが、サイドメンバをフロア上に構成する構造に改めて、フロア面を下げている。

 なお、300km/hの性能を国内でも味わえるようにスピードリミッターは、ナビゲーションシステムに事前に登録されている場所、たとえば富士スピードウェイなどでは解除することができる。また、ナビ画面と切り替えて使えるマルチ・ファンクション・メーターにはアクセル開度や前後Gなどの表示機能があり、自分の運転を後で確認することができる。

 車両重量は1740kg、10・15モード燃費は8.2km/L、乗車定員は4人。

動画 「林副編集長の動画レポート」

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図2◎リアビュー
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図3◎サイドビュー
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図4◎フェンダーにはRの文字が赤いエンブレムが付く
図4◎フェンダーにはRの文字が赤いエンブレムが付く
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図5◎カットモデル
図5◎カットモデル
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