Flashで構築した組み込み向けUIの画面例。QNX Neutrino上でFlash Lite 3のUIが動作している。なお写真では,Windowsの開発ホスト上で動作するVMwareのゲストOSとして,QNXが動作している。
Flashで構築した組み込み向けUIの画面例。QNX Neutrino上でFlash Lite 3のUIが動作している。なお写真では,Windowsの開発ホスト上で動作するVMwareのゲストOSとして,QNXが動作している。
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アプリケーション例その1(時計)。
アプリケーション例その1(時計)。
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アプリケーション例その2(画像ビューア)。米Apple社の「Cover Flow」のような動きを作り込んである。
アプリケーション例その2(画像ビューア)。米Apple社の「Cover Flow」のような動きを作り込んである。
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YouTubeを表示した例。QNX社によると,車載端末のマイクロプロセサで一般的な100〜200MIPS程度の処理能力があれば,Flashの再生は可能という。
YouTubeを表示した例。QNX社によると,車載端末のマイクロプロセサで一般的な100〜200MIPS程度の処理能力があれば,Flashの再生は可能という。
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 カナダQNX Software Systems Co.は,組み込み機器のユーザー・インタフェースをAdobe Flash技術によって構築するための製品「QNX Aviage Graphics Suite」を発表した。米Adobe Systems Inc.はこれまでQNX社のリアルタイムOS「QNX Neutrino」向けにはFlash Playerを提供していなかったが,今回,組み込み機器向けのFlash再生ソフトウエア「Flash Lite 3」をQNX向けに移植した。GUIの構築を,画面のデザイナーとプログラマーとの間で分担することで,より早期にGUIのプロトタイプを構築することが可能になるとする。

 Flash Lite 3は2007年10月にAdobe社が発表したばかりのバージョン。従来バージョンではアニメーションの再生のみだったが,Flash Lite 3では新たに映像フォーマット「Flash Video(flv)」形式に対応したのが特徴である(Adobe社の発表資料)(関連記事)。「YouTubeを始めとして,インターネット上にはFlashを使ったコンテンツが溢れている。QNXを使えばFlash技術でGUIを手早く構築できるだけでなく,組み込み機器でこうした豊富なコンテンツを閲覧できるようになる」(QNX社 Director, Media and Analyst RelationsのDarrin Shewchuk氏)(関連記事)

 QNX社は主に産業機器などでの利用が多いが,今後,カーナビなど車載端末向けへの進出を狙っている。北米や欧州などの自動車分野の顧客からFlashベースのUI環境への要望が強いため,今回の製品を投入したという。

 Flash Lite 3は,今回のQNX以外にもSymbian OSやBREW,Windows Mobileといった環境に対応している。NTTドコモやフィンランドNokia社らが自社の端末にFlash Lite 3を搭載する予定だが,今後,車載端末においてもFlashベースのUIを搭載した製品が登場しそうだ。

 QNX社は,「Photon microGUI」と呼ぶFlashベースではない通常のGUIライブラリ製品も手掛けている。今回のQNX Aviage Graphics Suiteは,従来型のGUIライブラリと組み合わせて利用することも可能である。例えば,Flashで構築した画面内に,Photon microGUIで描画した3次元グラフィックスの画面をはめ込むこともできるという。