受信側のワイヤレスユニット
受信側のワイヤレスユニット
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テレビ背面下部に設置した場合
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中央がWoooステーションで,右がワイヤレスユニット(送信側)。今回の発表会では,実際に電波を送信する試作機を,台の裏に配置した。Woooステーションの左後方に,アンテナが見える
中央がWoooステーションで,右がワイヤレスユニット(送信側)。今回の発表会では,実際に電波を送信する試作機を,台の裏に配置した。Woooステーションの左後方に,アンテナが見える
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裏に配置した試作機。アンテナはオムロン製とみられる
裏に配置した試作機。アンテナはオムロン製とみられる
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 日立製作所は,2007年12月中旬から発売する超薄型液晶テレビ「Wooo UTシリーズ」に,UWB無線を使ったHDTV動画伝送システムをオプションとして用意した(発表資料Tech-On!関連記事1Tech-On!関連記事2)。

 HDMI信号の無線伝送にUWBを利用する。最大で約9m伝送できる。UWBは既にパソコン周辺機器などで対応機器が発売されているが,国内テレビ・メーカーがUWBを採用したのは今回が初めて。

最大160Mビット/秒で伝送

 Wooo UTシリーズは,テレビのモニター部とチューナー部(Wooo ステーション)を分離する構成であり,通常はHDMIの有線ケーブルで両者を接続する。このモニター部とチューナー部を無線接続する際にUWBを用いる。モニター部を壁に張り付け,Woooステーションを部屋の隅に設置するといった際に,無線システムが威力を発揮すると考えている。

 無線システムの名称は「ワイヤレスユニット」。Wooo ステーションと接続する送信側ユニットと,モニター部に接続する受信側ユニットの2台で構成する。送信側ユニットでHDMIの信号(HD画質の動画データを含む)を圧縮符号化し,受信側ユニットで復号化する。動画像の圧縮符号化にはJPEG 2000を利用する。無線区間の実効的な最大データ伝送速度は160Mビット/秒程度。UWBの伝送手法には,複数搬送波を利用するマルチバンドOFDMを使い,4.2GHz~4.8GHzの帯域でデータを送受信する。発表会場では,ワイヤレスユニットのモックアップを出展したほか,これと良く似た形状の実際にデータを送受信できる試作機を設置台の裏などに置いた。

 UWBの送受信チップ・メーカーは明らかにしていない。ただし,発表会場で見せたモックアップの形状や,JPEG 2000を使ってHDMIを圧縮する手法などは,UWB送受信システムの参照設計や対応チップを開発する米Tzero Technologies,Inc.が以前に公開したシステムに良く似ている。なおTzero Technologies社のシステムでは,米Analog Devices,IncのJPEG 2000用コーデックLSIを使っている(Tech-On!の関連記事3)。

 会場で実際に電波を送受信した試作機は,台湾ASUSTek Computer Inc.の刻印があり,アンテナにはオムロンの樹脂製小型アンテナらしきものが使われていた(Tech-On!の関連記事4)。ただし,発売時のシステムでのアンテナ形状は変わる可能性があるという。

 ワイヤレスユニットの価格はオープンだが,受信側と送信側のペアで約9万円程度になるという。日立製作所は,Wooo UTシリーズの購入者のうち,10%~15%がワイヤレスユニットも購入すると推測している。

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