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HOMEエレクトロニクス電子デバイス > 「USBがそのまま無線になる」,Alereon社のCEOに聞く

「USBがそのまま無線になる」,Alereon社のCEOに聞く

  • 野澤 哲生=日経エレクトロニクス
  • 2007/10/17 22:58
  • 1/1ページ
Alereon社がCEATECで披露したUWBチップセットを利用した製品群の通信デモ。無線ハブを介して2台のパソコンとデジタル・カメラ(韓国Samsung Electronics社製,ただし未発売)などを接続している。ただし,会場では実験局免許の取得が間に合わなかったため,通信ケーブルを介して通信している。
Alereon社がCEATECで披露したUWBチップセットを利用した製品群の通信デモ。無線ハブを介して2台のパソコンとデジタル・カメラ(韓国Samsung Electronics社製,ただし未発売)などを接続している。ただし,会場では実験局免許の取得が間に合わなかったため,通信ケーブルを介して通信している。
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新しいAL5000シリーズのチップセットを実装した各種モジュール
新しいAL5000シリーズのチップセットを実装した各種モジュール
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 米Alereon,Inc.は,UWB(ultra wideband)向けLSIを開発する半導体メーカー。同社は新しいUWBのチップセット「AL5000」シリーズを2007年6月に発表した。AL5000は,UWB向けの3G~10GHzのすべてのバンドを利用できるのが特徴。米国では2007年8月にワイヤレス・ハブなどの製品に実装され,発売されている(AL5000の発表時の関連記事発売したメーカーのWWWサイト)。

 Alereon社は2007年10月3日には,村田製作所がCEATECで実演しているUWBモジュールにもAlereon社のチップセットが使われていることも正式に発表した(村田製作所の実演についての記事)。日本では初めて7.25G~10.25GHzの高域バンド(ハイバンド)に対応したのが特徴である。今回,CEATECに合わせて来日したAlereon社のCEO Eric Broockman氏に,同社のUWBチップセットの特徴などについて聞いた。(聞き手は,野澤 哲生)

――今回,日本のハイバンドに対応する一方で,低域バンド(ローバンド,3.4G~4.8GHz)は利用していない。電波干渉の自動回避機能「DAA(detect and avoid)」を実装した上で合わせて使うことは考えなかったのか。あるいは,Alereon社はDAAを実装していないのか。

Broockman氏 ローバンドは制約が多い。UWBを用いる無線USBの規格「Certified Wireless USB」は三つのバンドを周波数ホッピングして使うのが基本だが,日本のローバンドは現在DAAなしでは2バンドしか使えない。しかもその一つは2008年末までという期限付きで,その後はDAAが必要になる。

 DAAについては,我々は世界で初めてチップにDAAを実装したチップ・メーカーだ。ただし,DAAがUWBにとって実用的かというと疑問だ。例えば,我々のDAAは他の無線機器が出す-90dBmという非常に低出力の電波も検知できる。ところが実際にはそれより強い雑音を出す機器が周りにあふれている。そうした場所でUWBのDAAを作動させると,雑音を検出する度に通信を停めてしまうことになる。これがローバンドを使わない理由の一つだ。

 一方,ハイバンドなら日本でも制約が小さい。世界で共通して利用できる点も大きい。米国は3.1G~10.6GHzの全14バンドが利用できるが,欧州でもローバンドは日本と同様な利用制限があり,6G~9GHzの利用が中心になる。韓国や中国も同様になる見通しで,ちょうど7.392G~8.976GHzの3バンド(バンド・グループ6)は世界のほとんどで大きな制限なく使える。

 我々はどの国の電波規制にも対応できるように出力のスペクトラム・マスクをソフトウエアで自由に制御,設定できるようにした。利用するバンドのオン/オフに加え,漏洩電波の出力の設定なども簡単にできる。これで国・地域のスペクトラム・マスクの違いに合わせてバンドを設定するための外付けの周波数フィルタなどが不要になった。

10チャネルが利用可能に

――無線LANもそろそろIEEE802.11nへの準拠製品がでてくる。11nに比べた優位点などはあるか。

Broockman氏 まず,11nのような目立つアンテナが不要だ。しかも,面倒な接続の設定が要らない。実効データ伝送速度は200Mビット/秒で,文字通り,USBが無線でつながるようになったと思えばよい。例えば,UWBの無線ハブを「ワイヤレス・ドッキング・ステーション」としてオフィスで利用すれば,机の周囲にあるパソコン,デジタル・カメラ,USBメモリなどが自動的につながり,互いにデータをシェアできるようになる。

 しかも我々のチップセットであればハイバンドで周波数ホッピング機能を利用できるため,ホッピング・パターンを選ぶことによって論理的な通信チャネル数は10チャネルと多くなる。これなら,周囲のUWBユーザーとの電波の混信や干渉もほとんどなくなる。

――機器を近づけたら勝手につながるのでは,セキュリティが心配だが。

Broockman氏 もちろん,通信相手の認証機能はある。最初の利用時に通信させる機器を近づければ,互いの機器のディスプレイなどに設定の選択肢が出るのでそれを選ぶ。選択肢は3種類ある。その中の二つは,最初の認証後は自動的につなぐ,またはずっとつながないという設定。以前のBluetoothのように4桁の暗唱番号を打ち込むといった手順に比べれば,はるかに簡単だ。残りの選択肢は,一度だけつなぐという設定。これは,フォト・キオスク,つまり街中の写真のサーバー機のような機器にその時だけつなぎたいといった場合に便利だ。

――ハイバンドに対応するのは技術的に容易でないと聞いたが,Alereon社はなぜ可能になったか。その技術は他社がすぐには追いつけないものか。

Broockman氏 カギは搬送波の周波数を生成する,高周波対応のPLL(phase-locked loop)回路を開発したことだ。周波数のバラつきなどを非常に高い精度で抑え込んだ。しかも14個のバンドの周波数をそれぞれ生成している。こうした点の詳細は,論文にまとめた。近く,ある学会で発表する。他社がすぐに追いついてこないことを望んでいるが,こればかりはよく分からない。

――AL5000は2チップからなるチップセットだが,他社メーカーの中にはRFアナログ回路とベースバンド回路などを1チップ上に集積したところもある。2チップでよいのか。

 AL5000のチップ面積は2チップ合わせて89mm2しかない。これは,1チップ版のLSIの1/2という小ささだ。実装上不利なことはない。

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