障害位置の探索機能を搭載したアンリツのMT9090A
障害位置の探索機能を搭載したアンリツのMT9090A
[画像のクリックで拡大表示]

 FTTHの引き込み線で発生する障害位置を,稼働中のネットワークで探索できる保守用計測システムをアンリツが発売した(ニュース・リリース)。機能モジュールを付け変えることによって所望の計測を可能にする小型軽量の保守用計測器「MT9090A」に,障害位置の特定に向けた専用モジュール「MU909011A-052/062」を搭載して構成する。

 FTTHでは1本の光ファイバで複数の加入者をカバーする場合,PON(passive optical network)を使用することが多い。PONでは,光ファイバ網の途中に分岐装置を挿入し,光ドロップ・ケーブルをおのおのの加入者宅内に引き込んでいる。このため分岐した先の部分に発生した障害を探索する場合,他の加入者へ影響を与えることなく保守作業を行う必要がある。
 
 しかし,従来障害位置の特定には,計測対象になるファイバに試験用の強い光信号を入力する必要があった。このため,通信信号と試験信号が混線しサービスに影響を与える可能性があった。影響を避けるためには,計測する光ドロップ・ケーブルを分離するなどの作業手順が必要だった。MU909011A-052/062では,実際のデータ伝送には影響を及ぼさない,波長が780nmの短波長帯レーザ光を使って障害位置を探索することによって,従来の課題を解決した。

 また,MT9090Aには,オプションとして光パワー・メーターや可視光源の機能を搭載することによって障害発生時の対処効率を向上できる。MU909011A-052/062による障害位置の探索機能と合わせて使うことによって,計測対象の光ケーブルをつなぎ換えることなく,断線確認と障害位置探索を連続して行うことができる。アンリツによると,障害が発生した時の対処の作業効率が最大約400%向上し,復旧時間が短縮する効果が期待できるという。

 MT9090AにMU909011A-052した場合の外形寸法は190×96×48mm,重量は約800gと小型軽量である。価格はUPC(ultra physical contact)対応のSMF(single mode fiber)向けが,MT9090AとMU909011A-052合わせて34万5000円,APC(angled physical contact)対応のSMF向けが同35万5000円である。オプションは可視光源の機能が3万5000円,光パワー・メーターの機能が2万5000円である。