文書を印刷した場合の純正品での印刷結果
文書を印刷した場合の純正品での印刷結果
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文書を印刷した場合の模倣品での印刷結果
文書を印刷した場合の模倣品での印刷結果
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写真を印刷した場合の純正品での印刷結果
写真を印刷した場合の純正品での印刷結果
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写真を印刷した場合の模倣品での印刷結果1
写真を印刷した場合の模倣品での印刷結果1
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写真を印刷した場合の模倣品での印刷結果2
写真を印刷した場合の模倣品での印刷結果2
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 中国市場で販売されているインクジェット・プリンターの純正インク・カートリッジと模倣品の印刷品質や印刷コストなどをアリオンが評価し,この結果を公開した(評価結果)。試験対象にはキヤノン製の「PIXMA iP2580」を用いて,文書印刷と写真印刷の品質,印刷コスト,耐水性,梱包の状況などの項目を評価した。その結果,印刷品質のみならず印刷コストにおいても純正品が勝るという結果を示した。同社は評価結果に加えて,消費者が純正品と模倣品を見分けるためのポイントも解説している。

 中国市場では純正品と非常に類似した模倣品が安価な値段で売られている。両者の外観は非常に似ており,一般の消費者が見分けることは難しい。たとえ消費者が純正品を購入したいと思っても,知らないうちに模倣品を購入してしまう可能性がある。その結果,消費者が模倣品に原因がある印刷品質の悪化をプリンターの品質が悪いと誤認したり,プリンターを故障させてしまうなどの問題につながる。そして,クレームの対象は常にプリンター・メーカーである。

 アリオンは,文書と写真を印刷した場合の純正品と模倣品の印刷品質の差として以下のような点を指摘している。まず,文書印刷をした場合には,模倣品ではカラー印刷している図の部分で,黄色が緑色になった例があった。これは,インク・タンクの内部でインクが混色してしまっていることに起因しているという。また,黒いインクで印刷した文書では,罫線のエッジや文字に滲みが生じる。その他に,模倣品ではインクの渇きが遅いため用紙の重なりによる汚れが生じたり,耐水性が著しく劣るという。

 意外な結果として,安価であることが特徴である模倣品が,印刷コストで劣ることを示す評価結果を示している。インク・カートリッジ自体の価格は安価でも,一つのカートリッジで印刷できる文書や写真の枚数が,模倣品の方が高い確率で極端に少なくなる場合がある。このため1枚当たりの印刷コストが模倣品の方が高くなるというのがアリオンの評価結果である。模倣品で印刷可能な枚数は個体差がある。文書を印刷した場合,純正品では試験した6個のカートリッジすべてで360枚印刷できたのに対し,模倣品では6個中3個が185枚程度しか印刷できなかった。その結果,1枚当たりの印刷コストは,純正品が0.3元であるのに対し,模倣品の半数が0.5元になってしまう。カラー・インクの場合も同様である。文書を印刷した場合,純正品では試験した6個すべてで323枚印刷できたのに対し,模倣品では6個中3個が138枚しか印刷できなかった。1枚当たりの印刷コストは,純正品が0.5元,模倣品の半数が0.7元になってしまう。
 
 模倣品の中には,純正品と同程度の枚数を印刷できるものもあるという。しかし,印刷枚数のバラつきが大きく,かつ純正品と比較すれば少なくなることが多い。こうした結果になるのは,模倣品がカートリッジ自体を安易にリサイクルしているためである。インクを染み込ませているスポンジの状態にリサイクル前の使用履歴を反映した個体差があるため,出荷時のインクの量がバラついている模様である。