Qimonda社 President and Chief Executive OfficerのKin Wah Loh氏
Qimonda社 President and Chief Executive OfficerのKin Wah Loh氏
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 メモリ専業メーカーのドイツQimonda AGでPresident and Chief Executive Officer(CEO)を務めるKin Wah Loh氏は2007年10月5日,幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2007」において,「キマンダのビジネス・モデルと事業戦略(集中と選択)について」と題する基調講演を行った。

 この中でLoh氏は,メモリ・メーカーが今後直面する主な課題として,民生機器を中心とした急速な価格下落への対応,微細化などの新技術の導入に伴う開発コストや設備投資額の増大,多様化するアプリケーションへの迅速な対応,新規参入企業の存在などを挙げた。Loh氏はこれまでのDRAM市場を振り返り,「一定の期間ごとに新規参入企業が登場することによって,主役がコロコロと入れ代わる」歴史を繰り返してきたと述べた。1970年代前半にはDRAMメーカーは米国の企業にほぼ限られていたが,1975年ごろから日本のメーカーなどが参入し,その後韓国メーカーや台湾メーカーと続き,2000年前後には中国メーカーなども市場に入ってきた。同氏は「これまでの歴史から推測するに,今後も同様のことが起こる」と予測する。具体的には,「インドやロシア,アフリカ地域の企業がDRAM市場に参入してくるだろう」と見る。

 このような激動の時代に対応するために,メモリ・メーカーが採るべき方策の一つとして,Loh氏は「Global Footprint」(世界を股にかけた事業展開)というキーワードを挙げた。例えば「日本の企業の中には,海外に拠点を設けてはいるものの,意思決定そのものは日本で行っているところがある。そうした企業は真のグローバル企業とは言えない。たとえ日本の企業であっても,もし米国の市場を狙いたいのであれば,意思決定機能は米国に残すことが重要である」と同氏は主張する。

 Loh氏によれば,こうしたグローバル的な視点は人材登用の点でも今後は必要になるいう。同氏はQimonda社での自身の人事を例に出し,「Siemens社,Infineon社というドイツ企業の流れを汲む我が社のCEOとしてアジア系の私が就いている。この事実を取ってみても,Qimonda社はグローバル化で先行していると言えると思う」と分析した。

 さらに,企業間の関係にもグローバル的な視点が不可欠になっていくと同氏は説いた。「今後はSiファウンドリーやファブレス企業,製造装置メーカー,ライブラリ・ベンダー,テスト会社など,さまざまなレイヤの企業同士が必要に応じて自由自在に提携関係を構築していくことがより重要になっていく」(Loh氏)とした。Loh氏は講演の最後に,イギリスの自然科学者であるCharles Robert Darwin氏が「進化論」で唱えた言葉を引き合いに出し,「企業においても,最も力のあるところよりも,環境などの変化に対して最も柔軟に適応できたところが生き残るだろう」と締めくくった。