展示していたパネル
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 TDKは「CEATEC JAPAN 2007」で,タッチパネル式ディスプレイや携帯電話機の筐体,光ディスク媒体などに付く指紋などの影響を定量的に評価するときに必要な「指紋を一定品質で付ける方法」について参考出展している。

 同社は光ディスク媒体の研究開発を行うにあたって以前,指紋の付着によって左右される記録/再生品質の評価方法に悩んだことがあったという。具体的には,当初はカートリッジに入れていたBlu-ray Disc媒体をカートリッジなしにする際に,指紋の影響を定量評価する必要に迫られたが「人がその都度,ディスクにさわって指紋をつけたのでは,その日のコンディションなどによって付き方が大きくバラつくので,定量評価どころではなかった」(説明担当者)。そこで同社が開発したのが,今回展示した方法だという。

 まず「人工指紋液」と呼ぶ液体を用意する。高級脂肪酸などの油とダストなどを混濁させた液体で,その成分については特許を取得しているという(「特許3886519」などとみられる)。ダストとしては,JIS Z8901で規定されている関東ローム系の試験用粉体を用いた。「JIS K2246:さび止め油」の中でも人工指紋液の成分が規定されているが,これはさび止め油の性能試験に使うべく決められたものなので,光ディスクの評価などには使いにくかったとする。

 今回提案している方法では,まずこの人工指紋液をスタンプ台にするディスク上にたらし,スピンコート法で薄く延ばす。そのスタンプ台にゴム栓のような形をしたスタンプを当てて(押し当てる面は適度に荒らしてある)指紋液をくっつけて,次に評価したいものの表面に一定の力で押し付けて転写する。

 このところ,タッチパネル式ディスプレイを備えた携帯電話機が人気になっている。さらに薄型テレビの画面についている反射防止膜や機能性フィルムなどでも耐指紋性が課題になっている。TDKはこうした背景から,自社で用いていた定量評価手法を参考出展することで,来場者の反応を探ることにしたという。

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評価の流れ
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指紋の付きにくい表面にするといった表面性状の改質に役立つ
指紋の付きにくい表面にするといった表面性状の改質に役立つ
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