図1 試作したユーザー・インタフェースの説明
図1 試作したユーザー・インタフェースの説明 (画像のクリックで拡大)

 日立製作所はネットワーク対応の大画面テレビでの利用を想定したユーザー・インタフェース(以下,UI)を試作し,「CEATEC JAPAN 2007」に参考出展した(図1)。蓄積した多数の映像や写真などのコンテンツの中から見たいものを探して閲覧するときに,直感的に操作できるようにすることを意図した。ボールを回転させる,いわゆる「トラック・ボール」方式のリモコンと,そのリモコンの操作に応じて遷移するUI画面を試作した。

図2 トラック・ボール方式のリモコンのデザイン案
図2 トラック・ボール方式のリモコンのデザイン案 (画像のクリックで拡大)

 日立製作所はトラック・ボール方式のリモコンとして,テーブルなどに置いて使うタイプと,手に持って使うタイプを用意した(図2)。「次世代テレビの入力デバイスとして適切なものは何かとさまざまな方式を検討したときに,画面スクロールのしやすさなどの面でトラック・ボールが有力な候補になると考えた。多くのコンテンツをスクロールしながら選ぶような場面での操作の快適さで特に優れている。例えば十字ボタンを押す方式では,所望のコンテンツにたどり着くまでに何度もボタンを押さなくてはならない。そのトラック・ボールに合う画面構成を作ってみた」(説明員)とする。他の入力デバイスとしてタッチ・パネルやトラック・パッドなども検討したという。

 写真を閲覧するUIは,日付やジャンルといった写真のメタデータを使って,仮想的なフォルダ単位で表示する。画面左側に表示した仮想フォルダ一覧の中から任意のフォルダを選択すると,写真を閲覧する画面に遷移する。このとき,ボールを左右に転がすと次の写真に遷移し,ボールを上下に転がすと画面内に表示する写真の枚数を変える。多数の写真を表示している状態(図3)からボールを上方向に転がしていくと,画面の中心にあった写真を中心に,表示枚数を徐々に少なくしていく(図4)。表示枚数の多少に合わせて,写真1枚当たりの大きさを変える。「写真を閲覧するUIでは,カーソルで写真を選ぶという方法は想定しなかった。アルバムのページをめくるように画面を遷移させ,見たい写真をすぐに大きく表示できるようにすることを狙った」(説明員)。

図3 写真閲覧の画面でメニュー・ボタンを押すと,左側に仮想フォルダの一覧を表示する
図3 写真閲覧の画面でメニュー・ボタンを押すと,左側に仮想フォルダの一覧を表示する (画像のクリックで拡大)
図4 写真閲覧中にトラック・ボールを上下方向に回転させると,画面内に表示する写真の枚数が少なくなり,1枚当たりの表示が大きくなる。最終的には,画面内に1枚だけを表示するまでズームできる
図4 写真閲覧中にトラック・ボールを上下方向に回転させると,画面内に表示する写真の枚数が少なくなり,1枚当たりの表示が大きくなる。最終的には,画面内に1枚だけを表示するまでズームできる (画像のクリックで拡大)

 映像を表示するUIは,日付やタイトルなどのメタデータを使って映像コンテンツを並び替えられる。画面左側に縦方向に並べたコンテンツ一覧を,トラック・ボールを上下方向に回転させることでスクロールし,希望するコンテンツにカーソルを合わせる。画面右側には,カーソルが合ったコンテンツの画面と概要を表示する(図5)。このときトラック・ボールを右方向に回転させると,右下の領域でチャプターを選択できるようになる(図6)。そこで左右方向の回転で任意の場面を選べばよい。

図5 映像閲覧の画面では,日付やタイトルなどで並べ替えたコンテンツ一覧を表示する
図5 映像閲覧の画面では,日付やタイトルなどで並べ替えたコンテンツ一覧を表示する (画像のクリックで拡大)
図6 コンテンツを選択してから右にボールを回転させると,チャプター選択ができるようになる
図6 コンテンツを選択してから右にボールを回転させると,チャプター選択ができるようになる (画像のクリックで拡大)

 テーブルに置いて使うタイプの入力デバイスは,左側に表示するフォルダやコンテンツ一覧がスクロールし終わったときに,ボールをその方向に回転しにくくするフォース・フィードバックの機能を持たせた。逆方向への回転を促すためである。画面の操作状況に合わせて,ボールを物理的に押さえつけることで回転しにくくしたという。なお今回の試作UIは,パソコンを使って動作させている。