セッションに登場する篠田傳氏(右の人物)
セッションに登場する篠田傳氏(右の人物)
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会場の脇から試作品が登場
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チェッカ・フラッグを表示したところ
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ディスプレイを表示させたまま曲げた様子。上のスクリーンに大きく映し出されている
ディスプレイを表示させたまま曲げた様子。上のスクリーンに大きく映し出されている
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狙う用途
狙う用途
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 元富士通研究所フェローで,PDPの生みの親として知られる篠田傳氏が設立したベンチャー企業「篠田プラズマ」は,2007年10月3日に開催された特別セッション「未来予測デジタル産業2007-2020」の中で,開発を進めるディスプレイの試作品を公開した。初めての一般公開ということもあり,来場者の注目は高く,デジタル・カメラで試作品を撮影する姿も多数見受けられた。

 披露したのは,43型に相当する1m×50cmのディスプレイ。画素ピッチは3mmである。篠田氏が「研究室から,そのまま持ってきた」と説明した後,大きな装置に取り付けられたディスプレイが,会場の脇から登場した。

 このディスプレイは,「プラズマ・チューブ」を並べ,それを上下からフィルム状の電極で挟み込んだ構造である。プラズマ・チューブは,直径1mmのガラス・チューブ内に,放電ガスやRGBそれぞれの蛍光体などを封止したもの。RGBのプラズマ・チューブを横に並べるため,画素ピッチは3mmとなる。発光原理は現行のPDPと同様だが,極めて薄く軽くできるのが特徴だ。披露した43型ディスプレイの厚さは1mmで,重さは800gという。篠田氏はこのディスプレイの一部を,表示したままの状態でしならせ,フレキシブルであることを示した。

 篠田氏は,将来展望についても触れた。「このディスプレイは,すき間なく張り合わせられるのも特徴だ。量産時には,1m×1mの大きさのディスプレイを基本単位にして,それを張り合わることで,大型ディスプレイにする」という。こうして,1m×2m,2m×3mといった大きなディスプレイの実現を目指す。

 目指す用途についても言及した。薄くて軽く,大画面にできるという特徴を生かせる用途展開を狙う。「地下道の壁一面をディスプレイにしたり,天井にディスプレイを張り付けたり,これまでディスプレイを設置しにくかった場所に置きたい」(篠田氏)という。

 さらに篠田氏は,コスト面で液晶パネルやPDPといった現行のディスプレイより優位であることに触れた。「現行のディスプレイ製造で必要なクリーンルームは不要であるため,安くできる可能性がある。工場は非常に小さくできる」(篠田氏)。神戸にある篠田プラズマの工場は,それほど大きくないため,「こんなに狭い場所で,大きなディスプレイを造るのですか?」と,訪問者がよく驚くという。篠田氏はセッションの中で,『小さな工場で大きなもの(ディスプレイ)を造る』と,今回の取り組みについて象徴的な表現で説明した。

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