厚さ1.9cmの32型液晶テレビ(日立)
厚さ1.9cmの32型液晶テレビ(日立)
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厚さ3.7cmの42型液晶テレビ(日本ビクター)
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厚さ2cmの52型液晶テレビ(シャープ。写真は8月の記者発表時)
厚さ2cmの52型液晶テレビ(シャープ。写真は8月の記者発表時)
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厚さ3mmの11型有機ELテレビを並べたソニーのブース
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厚さ2.88mmの12.1型液晶パネル(シャープ)
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 10月2日に開幕した「CEATEC JAPAN 2007」では,“薄型”をアピールするフラットパネル・ディスプレイ(FPD)テレビが目白押しとなった。厚さを4cm以下と,従来の半分以下に薄くしたFPDテレビである。シャープ,ソニー,日本ビクター,日立製作所といった代表的なテレビ・メーカーが,このようなテレビをこぞって展示し,“薄型化”がFPDテレビの大きなトレンドになったことを強く印象付けた。

 テレビ・メーカーやパネル・メーカーが“薄型化”で狙うのは,FPDテレビの新たな利用シーンの提案である。従来路線のCRTテレビ置き換えだけではなく,ディスプレイの使い勝手を格段に高めることで新しい市場を掘り起こす。例えば,絵画のように壁に手軽に掛けられるテレビや,ホワイト・ボードのように簡単に場所を移動できるテレビなどである。このような新たな利用シーンを開拓することで,FPDテレビを第2の成長軌道へ押し上げる。“薄型化”は,現行テレビに対して明らかな差として表れるため,新市場開拓の切り札になる可能性は高い(NIKKEI MICRODEVICESの10月号に関連記事)。

厚さ2cm前後の大型液晶テレビが続出

 大型テレビで厚さ1.9cmと,2cmを切る薄型化を実現し,大きな注目を集めたのが日立製作所である。「次世代薄型TV」と銘打った32型液晶テレビの試作機を3台,シアター型の特別ルームに展示していた。部品の配置の工夫やバックライトを薄くしたことによって,厚さを1.9cmまで薄型化することに成功したという。同社は2009年中の量産化を目指している(Tech-On!関連記事1)。

 これに対して,「2008年3月から厚さ3.7cmの42型液晶テレビを発売する」と宣言し,製品化で先陣を切ったのが日本ビクターである。同社の薄型液晶テレビはチューナなども一体化しており,厚い部分でも7.2cmに奥行きを抑えている。薄型化の決め手になったのが,自社開発したバックライト・ユニットである。プロジェクション用スクリーン技術などで培った光の拡散技術やシミュレーション技術を生かして,バックライトを薄くしながら輝度の均一性を確保した。液晶モジュールの厚さは従来の35.3mmから20mmとなり,15.3mm薄くなった。(Tech-On!関連記事2)。

 シャープは,この8月に発表した厚さ2cm(ディスプレイ部)の52型液晶テレビの試作機を展示した。同社の薄型液晶テレビもチューナを内蔵している。それにもかかわらず,52型という大画面で,最厚部でも2。9cmという薄さは,他社を圧倒していた。シャープは,大阪府堺市に建設予定の液晶新工場を2010年3月までに稼働させる予定だが,この新工場の稼働に合わせてパネルを量産する考えである(Tech-On!関連記事3)。

10型級で有機ELと液晶が薄型化を競い合う

 10型級の中型では,ソニーが厚さ3mm(最薄部)の有機ELテレビを製品化した。20万円の価格で,12月1日から発売する。CEATECの展示会場で同社はこの「世界初の有機ELテレビ」をうたう製品をブース中央にズラリと並べた(Tech-On!関連記事4)。電流を流すと自発光する有機材料を使い,液晶に必要なバックライトやPDPに不可欠な放電空間を不要にしている。これにより,「従来のディスプレイ・デバイスとは全く違った圧倒的な薄さ」(ソニー代表執行役副社長の井原勝美氏)を実現した。

 一方,シャープは,最薄部の厚さが2.88mmと薄い12.1型の液晶パネルを展示した。バックライト光源にはLEDを採用している。白色LEDをパネル上辺に設置したエッジライト方式である。15型程度までは,この方式のまま大型化できるとする。量産時期は未定だが,ユーザーからの要求があれば,2007年11月にもサンプル出荷を始めるという( Tech-On!関連記事5)。

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