図1 ブロック崩しの実演の様子
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図2 不揮発性CPUのコンセプト
図2 不揮発性CPUのコンセプト
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図3 動作中のわずかな時間でも電源を遮断できる
図3 動作中のわずかな時間でも電源を遮断できる
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 ロームは,不揮発性のCPUを試作し,「CEATEC JAPAN 2007」に出展した。試作したのは8ビット・マイコンで,約300個のレジスタすべてに強誘電体メモリ素子を追加することで不揮発化した。今回,同社は,不揮発性CPUを使ってブロック崩しのゲーム処理を実演し,既存のCPUを利用した場合と比較した。

 ロームによるとCPUを不揮発化することの利点は大きく二つあるという。一つは,電源を遮断してもデータが残り,電源を再びオンすることで瞬時に動作を再開できること。CPUのレジスタが不揮発性であるため,電源遮断時のデータ・バックアップは不要になる。強誘電体メモリ素子を除いたレジスタそのものは通常の8ビット・マイコンと同じものを用いているため,「CPUの処理性能は劣化しない」(ローム)とする。また,不揮発化に伴うチップ面積の増大もほとんどないという。強誘電体メモリ素子はCMOS回路の上部に形成できること,および,チップ当たりのレジスタ数が約300個と少ないことが理由である。

 不揮発化によるもう一つの利点は,CPUの低消費電力化が可能になることである。レジスタが不揮発化しているため,動作中における100ms以下のわずかの処理待ち時間に電源を遮断できることによる。今回実演したブロック崩しのゲーム処理では,CPUが処理を行う4msの間のみCPUの電源をオンし,CPUが処理を行わない10msの間はCPUの電源をオフにできたという。これにより,CPUの消費電力を「1ケタ減らすことができた」(ローム)という。ロームによれば,不揮発性CPUの用途のうち,特に大きな低消費電力化の効果を見込めるのが,今回のブロック崩しのゲーム処理に代表される「ユーザーの入力がトリガーになって動作する使い方」という。ほかにも,シーケンサなどへの適用が有望とした。

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