米NTP, Inc.は，同社が保有する携帯端末向け電子メールのサービス関連特許が侵害されたとして，大手携帯電話事業者である米AT&T Mobility, LLC，米Cellco Partnership社（ビジネス名はVerizon Wireless），米Sprint Nextel Corp.，米T-Mobile USA, Inc.の4社を提訴した。侵害されたとする特許は全部で8個。NTP社は以前，米国市場で人気があった「BlackBerry」関連の電子メールや携帯電話機といった製品群の製造やサービスを手掛けるカナダResearch In Motion Ltd.（RIM社）に対しても特許侵害で訴えており，2006年3月にRIM社がNTP社に6億1250万米ドルに支払うことで和解している（当時の発表資料）。今回の訴訟も，RIM社の訴訟と同じくバージニア州東部リッチモンド部連邦地方裁判所に提訴した。
今回の4社に対する訴訟は，以下の8個の特許を巡るものである。
● 5.438,611 - Electronic mail system with RF communications to mobile processors originating from outside of the electronic mail system and method of operation thereof
● 5,479,472 - System for interconnecting electronic mail systems by RF communications and method of operation thereof
● 5,436,960 - Electronic mail system with RF communications to mobile processors and method of operation thereof
● 5,625,670 - Electronic mail system with RF communications to mobile processors
● 5,631,946 - System for transferring information from a RF receiver to a processor under control of a program stored by the processor and method of operation thereof
● 5,819,172 - Electronic mail system with RF communications to mobile radios
● 6,067,451 - Electronic mail system with RF communications to mobile processors
● 6,317,592 - Electronic mail system with RF communications to mobile processors
RIM社とNTP社の和解では，NTP社が保有するすべての特許を対象とした。当時の訴訟には，少なくとも前述した5,436,960や5,625,670，5,819,172，6,067,451，6,317,592という5個の特許も含まれている。
NTP社は今回の訴訟で，訴訟相手の各社が無線ネットワーク上での携帯端末向け電子メール・サービス関連事業を中止することを求めるとともに，損害賠償も要求している。NTP社がRIM社を提訴していた2006年初期には，BlackBerry端末向けの電子メールとサービスの運営が中止されるとの報道が米国内に流れた。これを受けて米連邦政府は，多数のユーザーを抱えるBlackBerry端末向けサービスが中止されることを避けるために，裁判所に訴訟事件摘要書を提出していた。こうした動きが現在，米議会で議論中の米国特許法を見直す法案（Tech-On!関連の記事）作りのキッカケの一つになったと言われている。
